隣の好きな人

第1話

ーー世の中には、損得が当たり前のように存在する。



彼があの人と付き合っているのは、私にとって損。いや、誰が見ても損だ。


得をするのは、彼じゃない。その、相手だ。


好きな人を二人も手に入れて、どんなに幸せなのだろう?


苦しめば、良いのに。二人とも、手元から離れちゃえば良いのに。




「……水瀬」



お願いだから、その人と別れて。


知ってるんでしょう?その人、既婚者なのに、年上なのに、水瀬と付き合ってるんだよ?


17歳の水瀬と、26歳の、七海先生。





「……別れてよ……っ」



涙で滲む視界に、仲の良さそうに会話をする二人の姿が歪んで映った。



なんで、よりによって先生なの?



ねぇ、水瀬。





ーー今日も私は、好きな人と先生が不倫しているところを、この薄暗い密室で見てる。

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