第6話 事件解決
第6話
「お兄様の頭を撫でた!?」
地下水路から出ると住民たちが歓声を上げてロキスとレセルを称えた。
住民たちに囲まれるレセルの後ろで、ロキスが疑問に思ったことを
エリサに聞くと軽く足蹴りをされ頬を膨らませ言う。
「エリサだってないのにぃ!羨ましいことを!」
「いててっ…いやいや、俺が聞きたいのは何で戸惑ったか知りたいんだ」
「…」
戸惑っていたことを知るとエリサは攻撃を止め、神妙な顔つきになる。
「お嬢?」
エリサはれけるレセルの方を向き、静かに呟く。
「お兄様とエリサのお父様は英雄騎士って呼ばれてて
王様が最も信頼する人だった。
そのせいかお兄様が立派な成績を出しても『英雄騎士の息子だから当たり前』って
教師や知人、お母様やお父様まで言ってて誰も褒めてはくれなかったの」
「!」
レセルの成長過程を知り、ロキスは深く共感する。
ロキス自身も父親が魔王であるが上に、
何をするにも完璧に成果をあげないといけない
というプレッシャーを受けて育った。
誰も自分の後ろにいる父親を見ているようで劣等感に苛まれてきた。
レセルも同じ気持ちだったのだろうか。
そう思考しながらレセルを見つめていると、エリサが袖を引っ張る。
顔を向けるとエリサは少し頬を赤らめながら言う。
「とりあえず…ありがとう」
「…おう」
素直に感謝をされたロキスは胸が熱くなり、嬉しい気持ちが顔に出て笑顔になる。
「…っ」
その笑顔を見たエリサが、ますます顔を真っ赤にして
無言でレセルのもとへ走った。
その姿を見送っていると背後でナナが笑う。
「ふふっ…モテモテで羨ましいですね~」
「……ナナ、背中に銃口があるんだが気のせいか?」
「チッ…気づかなければ静かに風穴が空いたのに…」
「こえーーよ!」
「冗談ですよ~てへぺろっ」
「冗談に聞こえないんだよ!結界に永遠に閉じ込めてやろうか!」
「ええっ!女の子に手を出すんですか!」
「初めて対戦した時と言っている事が違うなこのやろ!」
お互いに向かい合って構える二人をレセルは、やれやれと思いつつも笑顔になる。
今まで笑顔になる事が殆どなかったレセルを心配していたエリサは、
その姿を見て魔王ロキスが攻めてきたのも良かったと思ったのだった。
第1章 終幕
世界征服がしてみたい魔王と英雄さま! @otoha368
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