あこがれのSF作家

ふさふさしっぽ

本文

 星新一の書くショートショートが好きです。

好きな作家は? と聞かれればすぐに頭に浮かぶのが星新一。


 はじめて星新一の作品に出会ったのがいつなのか、始めて読んだ作品はなんなのかはもう思い出せないんですが、中学生のとき、学校の先生に「星新一の作品が好きです」と言ったら、その先生は「うーん、でも星新一の作品は飽きるからねえ」と返し、そのあとその先生のことが嫌いになったのを今でも覚えています。


 何を読んでも面白いので、友達にプレゼントして布教しようとしたこともありますが、友達には刺さらなかったようです。こんなに面白いのに……。まだ子どもだった私は、自分がいいと思ったものは他人もいいと思うに違いない、と思っていたのでした。

 多分それがSFを好きになったきっかけで、高校に入ってからは「眉村卓」や「新井素子」を読んでいました。がっつりSFよりも難しくないSFのほうが好きです。読みやすい文章がいい。


 星新一の作品はいつまでも新しく、古くならないとも言われます。

 これについてはご本人が「ショートショートを含めて短編を書くときはつとめて時事風俗に関連のあることは書かないようにしている」と、「N氏の遊園地」のあとがきで書かれており、だからなのかなーと、納得しました。


 読みやすく、難しくない、だけど面白い、いつまでも新しい、そんな作品にあこがれており、その出発点が「星新一」なのだと思います。


 そんな作品を私も書きたいと思っていますが、なかなか難しい。どうしても説明がくどくなってしまいます。時事ネタや今風の口調も入れてしまうし。とにかく切れ味のいいショートショートを書きたいですね。


 そんな子どものころから大好きな星新一の本は、今でも大事にして、ふと思いついたときに読み返しています。ショートショートですから、スキマ時間に、お風呂タイムに、寝る前にちょっと読むのにうってつけです。


◆◆◆


「ねえ、この本面白そうだね」


「読んでみよう。最近書かれた本みたいだね」


「見て、わたしたちのことが書いてあるよ」


「本当だ、予言書!?」


 地球観光に来ていたパキ星人たちは、星新一のショートショートを端末にダウンロードし、その内容に驚くのだった。

 

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