あこがれ

魔女っ子★ゆきちゃん

第1話 憧れの快適旅アイテムゲットです♪

 町に戻って、『ひなま』を換金した私達はほくほくでした。

 ガレフアルドに転移して以降、ここまで所持金が潤ったのは初めて。

 これまでは、かつかつとまでは言わないものの、それなりにシビアにやりくりをしていました。

 言うまでもなく、異世界においてもお金は超重要で、お金があれば快適な旅が出来るのです。

「携帯用保存食が干しクロゲワぎゅうに♡」

 紗菜感激状態の魔法使い高橋紗菜たかはし さなちゃん。

「それだけじゃないぞ! 異世界製の本物の"魔法瓶"に"魔力レンジ"に"冷蔵ボックス"、そしてそれらを重さを感じることなく携帯出来る"四次元袋"まで手に入ったのだ。ひなまさまさまだな♪」

と、こちらも喜びを隠さない戦士の美咲華みさき はなちゃん。

 もちろん、私、僧侶の井手恵いで めぐみも嬉しいに決まっています。なんてったってアイドル……じゃなかった。

 なんてったって、"使い捨てコテージ"が3つも買えたのですから☆

 この『使い捨てコテージ』、一度魔物討伐のお礼として頂いて使ったことがあるのですけれど、寝袋とかテントなどとは異次元の快適性なのですっ!

 ふかふかのベッドに、オサレなキッチン、ヨーシキトイレにシャワーまで完備されているのですっ!

 旅の途中はお風呂とか入れないじゃないですか?

 町から町への移動に3日掛かるなんてよくあることで、長いと10日なんてこともあるんですよ?

 お風呂なんて入れないから、どこかの水辺で水浴びするしかないのですが、孝雄君の視線を気にしなくちゃいけないし、夏以外だと水は冷たいし……★

 冬なんて、絶対無理ですっ! 凍え死んでしまいますっ!

 だから、使い捨てコテージのストックが、3つもあるのが嬉しすぎて♪

 ちなみに、この使い捨てコテージ、使う前は手乗りサイズの小さな箱なのですが、平らで傾斜のない場所で使用すると、魔法のように(実際魔法ですが)瞬時に大きなコテージへと早変わり☆

 ただし、一度使用すると、元の大きさへは戻せません。

 使用後は、転送ボタンを押すと、販売店の方へと転送される仕組みです。

 異世界ガレフアルドの科学力……じゃなかった、魔法力は凄いですっ!

 ただひとり、テンション低く、

「俺の初めてが〜★」

「ひなま〜★」

「そんなウソだろ……★」

などと、ぶつぶつ呟いているのが、吾らが勇者でリーダーの佐藤孝雄さとう たかお君です。

 まあ、孝雄君のことは、そっとしておいてあげましょう。

 何があったのか、お尻になりたい……じゃなくてお知りになりたい方は、前作『ひなまつり』をお読み頂くと幸いに存じます。


 続くはず

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