6章①

「連絡通りですね」

「はい」

 双羽商会が営業を開始したとの連絡を受け、樋口たちは店の前に来ていた。

 客としてではなく、調査任務のためだ。

「行きましょう」

 店に入った。

 店内は壁や棚、天井からぶら下がる照明にいたるまで、そのほとんどがアンティーク調のデザインとなっていた。

 棚には皿やティーカップといった食器類や雑貨の他、ブレスレットやペンダントといったアクセサリーなどがいくつも置かれ、壁には絵画や壁飾りが並べられていた。その他にも家具など大きめな物が所狭しと置かれていた。

「かなり種類がありますね」

「ええ。これだけ数があると、色々悩みますね」

 店内をまわっていると、雰囲気が違う場所を見つけた。

「こちらは欧州の骨董品を扱うコーナーでございます」

 背後から声が聞こえ、後ろを向いた。中年の男がいた

「驚かせてしまい申し訳ありません。随分と熱心に見ていらしてたので、お好きなのかと思いまして」

「いえ。まぁ・・・・・・」

「申し遅れました。私、雑貨売り場の責任者をしている、宮栄みやえいと申します。ごゆっくりご覧くださいませ」カウンターへと向かっていった。


 樋口たちは引き続き店内を見てまわった。

 ふと、いくつかの商品が気になり手に取った。

 これは──

 銀の方を見ると、なにやら銀も真剣な表情で商品を見ていた。

「それが気になりますか?」

「はい。少し・・・・・・」樋口の手元を見た。「もしかして、奈津さんもですか?」

「はい。私もこれが少々気になりました。二つとも購入しましょう」

 カウンターへと持っていった。

「お気に召した物はございましたか?」

「ええ。色々と気になるものはありましたが、なかなか選べませんでした。なので、一番気になったこれにします」

 会計を終えた。

 ふと、二階へと続く階段が目にとまった。

「上は何があるんですか?」

「ニ階は宝飾品です。うちはアンティーク雑貨と宝飾品の店ですので」

 銀の方を見た。

「二階に行ってみますか?」

「行ってみましょう」

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