3章③
◆ ◆ ◆
「以上が、我々が得た情報です」報告を終えた。
「確かに、妙な連中だな」
「こそこそやってる時点で怪しい気もしますな」
樋口からの報告を受け、立原と広津が口を開いた。
「それで、店の様子はいかがでしたか?」
「外から見る限りは、変わった様子はありませんでした。ただ、裏口付近に人の出入りがあったと思しき痕跡がありました」
「なるほど。芥川殿、どう思われますか?」芥川の方を向いた。
「そのトラックの件だが、
摺鉢街とは巨大爆発によってできた摺鉢状の荒野に、表社会から弾き出された人々が集まって造りだした街である。司法の目が届かないこの土地は非合法組織にとっても縁のある街であり、裏社会の情報が集まるこの場所はまさに情報収集に最適な場所である。
「数日前から、裏社会の組織を狙った窃盗が相次いでいる様だ。被害としては事務所や倉庫などが荒らされ、金品が強奪されるという比較的小規模なものらしい。そして毎回、その付近では側面に鳥が描かれたトラックが目撃されているそうだ」
「待ってください」樋口が声を荒らげた。「我々の得た情報にあったトラックにも鳥が描かれています。同じトラックとみていいのではないでしょうか?」
沈黙が辺りを包んだ。
「これは、そのトラックを調べてみる必要はありそうですな」沈黙を破ったのは広津だった。
「そうだな。樋口。お前たちは明日以降も表から調査を続けろ。他は僕とともに、そのトラックと運送業者を調べ上げろ。今日は解散する」
「かしこまりました」
おのおの部屋を後にした。
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