【KAC20252】あこがれこがれ

三毛猫みゃー

あこがれこがれ

 夕日がとてもきれいだと思った。

 まっかなまっかな夕日。


 虹がとてもきれいだと思った。

 赤橙黄緑青藍紫の七つの色をした虹。


 海の光がとてもきれいだと思った。

 透明で青くてキラキラと光を反射する海の光。


 夜空がとてもきれいだと思った。

 真っ暗闇の中でも光がまたたき月がきらめく夜空。


 あなたの心がとてもきれいだと思った。

 人を疑わず正直でやさしいあなたの心。


 あなたの瞳がとてもきれいだと思った。

 きらきら輝いていて、穢れを知らないあなたの瞳。


 あなたの唇がとてもきれいだと思った。

 どこか艶かしくて目が惹きつけられるあなたの唇。


 あなたの声がとてもきれいだと思った。

 鈴のなるような涼やかなあなたの声。

 

 あなたの髪がとてもきれいだと思った。

 真っ黒なつややかで長いあなたの髪。 


 あなたのお顔がとてもきれいだと思った。

 いつも優しくほほえむあなたの顔。


 あなたのほっそりとした首がきれいだと思った。

 とくにうなじに心を引き付けられるあなたの首。


 あなたの手がとてもきれいだと思った。

 細くて長くしみ一つ無い手入れの行き届いたあなたの手。


 あなたの足がとてもきれいだと思った。

 スラリとしていて長いあなたの足。


 そんなあなたの全てがきれいだと思った。

 その心も瞳も唇も声も髪も顔も首も手も足もあなたの全て


 きれいなものをいっぱいいっぱいあつめようとおもった。

 ゆうひ、にじ、うみのひかり、よぞら。

 ざんねんだけどそれにはてがとどかないかった。


 だけど

 あなたのすんだひとみにならてがとどいた。

 あなたのつややかなくちびるにならてがとどいた。

 あなたのこえがつむがれるのどにならてがとどいた。

 あなたのまっくろなつやつやのかみにならてがとどいた。

 あなたのえがおをうかべるかおならてがとそいた。

 あなたのそのほそいくびにならてがとどいた。

 あなたのしみひとつないてにならてがとどいた。

 あなたのすらりとしたあしにならてがとどいた。

 あなたのすべてにならてがとどいた。


 わたしはあなたがきれいだとおもった。

 だからほしくなった。

 てがとどかないとおもっていたあなたがほしくなった。

 だからわたしはあなたをてにいれた。

 もうはなさないだれにもわたさない。


 ああ、これであこがれたアナタトイッショニナレル。

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【KAC20252】あこがれこがれ 三毛猫みゃー @R-ruka

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