第1話 精霊誕生 男子
ここは高次元
ただただ広がる気持ちのいい天の一角
光り輝く広がりゆく空間に10の精霊達が
巨大な円を描き、思い思いに浮かんでいる。
久しぶりの再会を喜び合い、
話が
なかなか始まらない精霊会議に
響き渡る声の持ち主”地の精霊“が
「お互い懐かしんでばかりで
話が前に進まねえ。調和の精霊、
そろそろ本題にしようじゃねえか。」
女神の様な雰囲気の美しい“調和の精霊”は、
にっこりと微笑みを浮かべながら、
「光の地(地の精霊)、そうですね。
皆様そろそろ本題にかかりましょう。」
今までバラバラに話していた精霊たちは
調和の精霊に向き直る。
調和の精霊は今回の議題について
改めて全員に
「神から私たちに降ろされた様に
第11の精霊 “絆の精霊” が
全員を見回しながら静かに続ける。
「今回の精霊はより人間に近い者たち。
我々のサポートが必要になります。」
全精霊は思い思いに調和の精霊に頷き返した。
「皆様、いまだ世界の整備にお忙しい事と思いますが、
是非とも数名お力を貸していただけないでしょうか。」
調和の精霊の呼びかけに一人の精霊が手を挙げた。
「最初に天に生まれる第11の精霊・男子は
羽を使って世界を旅する使命がある。
その時、楽に使命が達成できる様に
僕は追い風でサポートができそうだね。
僕が男子のサポートをしましょう。」
軽やかな青年風の“風の精霊”がそう答えた。
それを受けて”調和の精霊”は”風の精霊”に
軽く会釈をしながら続けた。
「光の風(風の精霊)、あなたの追い風は男子の活力になるでしょう。
それでは男子が”対の女子”を見つけた後の世話係をお願いいたします。」
一人決まり、”調和の精霊”が世話係の名乗りを
「調和の精霊、第11絆の精霊・女子は
いずれ西の国に生まれる予定だと聞く。」
西の精霊は話ながら精霊全体を見回して話を続ける。
「光の地(地の精霊)は、二人が一緒になった後
直接世話をする事になるだろう。
それまではわしが女子の面倒を見ようじゃないか。」
知恵者として名高い仙人の様な“西の精霊”が
次に生まれる精霊・女子の世話係を
「光の西(西の精霊)、人間界で苦労をするであろう女子に
あなたの知恵が助けとなるでしょう。」
調和の精霊は西の精霊に会釈をして地の精霊に向き直る。
「光の地(地の精霊)、
人から生まれる女子は人々との違いで悩む事でしょう。
生まれた後、そして絆の精霊がお互いを
認識できた後も引き続き女子のサポートを
お願いいたします。」
地の精霊に会釈をしてから調和の精霊は皆に
「皆様それではここで第11の精霊 男子が生まれるのを待ちましょう。」
〇
数日が経過し、守精霊達(しゅせいれいたち:精霊全員)の足元で
渦が巻き始めた。
渦の中央に芽吹くように蕾が出現した。
渦の中の小さな蕾はグングン成長していく。
やがて人間ほどの巨大な蕾になると
天界から神の黄金色の光の帯が降り注ぐ。
それを皮切りに祝福の虹色の光線が
全方位から蕾めがけて降り注がれた。
光の祭典さながらのその景色に
さすがの
「これは綺麗だ。」
「みごとな景色じゃのう。」
「ほんにいいながめですこと。」
「いよいよ第11の精霊の誕生だな。」
口々にささやきながら、精霊誕生の美しさにため息をついた。
どこからともなく美しい音色が響き渡る。
音色に合わせて美しい蕾はほころび始める。
花の真ん中には丸々太った水色の髪の男の子が眠っていた。
天の精霊は男の子を抱き取ると
光の帯、音楽、花は、一筋の渦と共に
以前と同じ雄大な天界の景色に戻っていった。
天の精霊は優雅な
「絆の精霊ですが、この者には
光の風(風の精霊)名前をつけてください。」
風の精霊は赤子を抱きながら、
「それでは絆の精霊 男子は自身が天の所属だと意識できる様、
ソライと名付けよう。」
そのかけ声と共にそれぞれの精霊が赤子に祝福のエールを送る。
一陣の風、
美しい虹、
海から舞い上がる水の踊り、
それぞれの力を祈りと共に赤子のハートへ届けた。
風の精霊が天の精霊に赤子を返すと
全ての精霊は目的を終えた事を確認し
一瞬の後、各担当エリアへと戻っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます