勇者は多忙すぎる。

越山あきよし

自堕落・滅

 俺はなんの取り柄もない生粋の日本人だ。

 そんな俺は異世界に勇者として召喚される。

 初めは困惑した。

 俺が勇者? なんの取り柄もない俺が?

 試しに剣を振るって魔物を攻撃してみると容易に討伐できた。

 これが勇者の力かと感嘆する。

 力があるのはいい。

 もてはやされるのは悪い気がしない。

 だが、目立つのは気が引ける。

 落ち着かない。

 性根は真面目な日本人。

 言われるがまま、流されるがまま、魔王を倒し勇者になった。

 ここまではいい。

 問題はここからだ。








 魔王を倒したのに、新しい魔王が誕生し、討伐をせがまれ、討伐する。

 魔王を倒したのに、新しい魔王が誕生し、討伐をせがまれ、討伐する。

 魔王を倒したのに、新しい魔王が誕生し、討伐をせがまれ、討伐する。

 魔王を倒したのに、新しい魔王が誕生し、討伐をせがまれ、討伐する。

 魔王を倒したのに、新しい魔王が誕生し、討伐をせがまれ、討伐する。

 魔王を倒したのに、新しい魔王が誕生し、討伐をせがまれ、討伐する。

 魔王を倒したのに、新しい魔王が誕生し、討伐をせがまれ、討伐する。

 魔王を倒したのに、新しい魔王が誕生し、討伐をせがまれ、討伐する。







 何度これを繰り返しただろう。

 もう止めにしたい。

 NOと言える日本人になりたいものだ。

 自堕落な生活に憧れる。

 もう、なにもせず、誰とも会わず、とにかく飽きるほどに。








 ダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラ。






 ――したい。






「また新たな魔王が誕生しました。勇者様はおらぬか」




 呼ばれている。

 どうやら俺の憧れは叶いそうにない。






 ――勇者、やめたい。

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勇者は多忙すぎる。 越山あきよし @koshiyama

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