ありーいふお

ムラサキハルカ

 麗らかな晴れ空の下。仰向けの流し雛が川を下っていく。どこか虚ろな表情をした人形ひとがたは、何も語ることはなく、どことなく洗濯をしに来たお婆さんの前に現れた桃を連想させた。

 どう、綺麗?

 誇らしげな声が響くのに合わせて、俺は静かにおとがいを傾け、ああ、と心から答えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る