第3話「あなたの知らない白雪姫」

 王子さまは言いました。「カガミよカガミ、世界中で一番美しい娘は誰だ?」


「わっ!」と舞が声を上げた。あなたがいけないのよ。配役にママハハを作らなかったから⋯⋯。


 カガミは言いました。


「それは白雪姫です」


 肌は雪のように白く、若さあふれる女の子で、みんなのお手伝いを進んでする。

ママの言うことを聞く。お仕舞の上手い女の子です。


「そうか、さっそく連れにまいろう」


 王子さまは、颯爽と白馬にまたがり、白雪姫のいる村へ向かいました。


 王子さまは、白雪姫の住む村にやって来ました。門番の小人さんが王子に尋ねます。


「王子さまなにゆえ村に来なさった?」

「ここに美しい娘が居ると聞いてやってきた白雪姫は居るか?」

「白雪姫が居るとして、王子さまはなにゆえやって来なさった?」

「白雪姫を嫁にもらうためだ。僕は王子だからな」


 白雪姫は村にとっても宝物でした。たとえ王子さまでも勝手に持って帰ることはできません。


「白雪姫は今日はいません。森に山菜を採りに行っています。帰るのは何時になるのか分かりません」


 門番の小人は、そう言って王子さまを返すと、急いで白雪姫の所へ向かいました。詳細を話すと白雪姫は言います。


「私は王子さまを知りません。私はこの村が好きですから王子さまの所に嫁いだりはしません」


 村に居たら危ないので小人たち、男5人は白雪姫の警備のため、女3人は白雪姫の身の回りの世話をするため、白雪姫と共に森の小屋に隠れ住むことにしました。


 王子さまも黙っていませんでした。再びカガミに問います。


「カガミよカガミ。僕の白雪姫はいま何処に居るのか?」

「お教えしましょう。小人たちと森の小屋に隠れ住んでいます」

「小人たち? 白雪姫は結婚しているのか?」

「いいえ、王子さま。白雪姫はまだ独身です」


(え? 考えてみたら白雪姫のお話って7人の男性の住んでいる家に居候する話よね? 公衆良俗に違反してないかしら? 今回は三人官女が居るから、白雪姫の貞操は守られたわ。本当、おとぎ話って怖いわ)


 王子さまとカガミの会話は続きます。


「だったら王子の僕がもらってあげよう」

王子さまは新たに決意するのでした。


 最初の変化は白雪姫側でした。


 白雪姫は言います。


「ああ、りんごが食べたいわ」


「わあっ」と舞ちゃんが叫びました。白雪姫の毒りんごのお話は結構有名ですね。他に白雪姫は、腰ひもで縛り殺されたり。毒櫛を刺されて殺されたりしています。猟師に肝臓取られる(未遂)話もありました。

 でも、今日は毒りんごだけです。


 白雪姫は話を続けます。

「最近、森の小屋に移り住んでからお通じが悪いの⋯⋯」


 三人官女のひとりが言います。「白雪姫が買い物に出かけたら王子さまに見つかってしまいます。私は王子さまに顔が知られていないので、代わりに私が買ってまいります」


 その頃、王子さまも長い間、馬に乗って白雪姫を探していました。お陰でお通じが悪くなりました。


「近くでりんごを買って食べようか?」


 ちょうど、りんごを買いに来た三人官女のひとりと鉢合わせしました。


 でも、王子さまはこの娘を知りません。でも、娘が余りに大量にりんごを買い込むので、王子さまの分が無くなってしまいました。


「これ娘、そんなに買い込んでどうするつもりか?」

「これは私たちのご主人さまに食べて頂くものです。たとえ王子さまと言えど⋯⋯王子さまっ!」


 娘は演技がとんでもなく下手でした。


「怪しいな、そのご主人さまの名前を言え!」


「いえません」


「もしや白雪姫と言うのではあるまいか?」


「白雪姫さまとは関係ありません。白雪姫さまのことは知りません。白雪姫さまって誰ですか?」


「白雪姫の所に案内しろ!」


「知りません。知りません」


 娘はそれ以上話しません。仕方ないので娘を人質に白雪姫をおびき寄せることにしました。


 村全体におふれを出しました。


 ここで舞が質問。

「おふれってなあに?」


「なんだろう? 広告? 宣伝? 手紙かな? コレのお陰で、偵察に来ていた木こりの小人が買い物に出た、三人官女のひとりが捕まったことを知ったのよ」

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