第1話
「お疲れ〜」
「お疲れさん」
金曜日の夜。いわば華金と言われるこの時間。泡がこぼれんばかりにつがれたビールで2人乾杯をする。
キンキンに冷えたその黄色い液体を一気に煽り、ゴク、ゴクと喉を鳴らせば全身に快感が広がる。やっぱり1週間頑張ったあとのビールは格別に美味しいものだ。
「実は今日、水無瀬を呼び出したのには理由があります。」
「何、俺と一緒に飲みたかっただけじゃないの?」
「いや、それはそう!」
「なんだよそれ」
水無瀬がクシャッとした笑みを浮かべる。この笑顔をみたらきっと世の中の99%の女子はイチコロだろう。100%の自信を持って言える。
目の前のイケメンこと
パッチリとした二重の瞳に、少し猫っ毛の撫でたくなるようなふわふわとした茶黒の髪。女の私でも羨ましくなるようなスラッとした顔立ちに180cm越えの高身長とまで来た。一体天はこの男に何物与えれば気が済むのだろう。この前なんてこっそり盗撮されてた写真が知らぬ間にSNSで大バズりしていてそれはもう大変だったもんだ。
18歳で初めて出会って今が24歳だからもう6年来の付き合いになるのか。時が経つのは本当に速い。
大学を卒業してお互い就職してからもこうやって月に2、3回は飲むほどには今でも水無瀬との交流は続いていて。
異性ではあるけれど私にとっての一番の理解者は水無瀬だと思っているし、水無瀬にとっての一番の理解者は私であると自信を持って言えるくらいには私たちの関係は強固なものだった。
「で?わざわざ呼び出してまで話したいことって?」
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