神7話  デビュー戦開始

ついに覚悟を決めて神花から力を授かった真也。

トラウマを抱えながらも前に進む事を決め、今、マージと対峙する。


「自称じゃねぇ!俺はちゃんと本心の神マージ・クラディカブス様だ!!クソ人間!良い度胸だな。良いぜ。どっからでもかかってこい。相手してやる。」

「それじゃあ遠慮なく!」


と言うや否や跳躍して攻撃を繰り出す真也。

その攻撃がもろに命中する。

その威力に動揺するも、すかさず反撃するマージ。

だが真也はそれを正確に見て防御を取る。

その攻防を信頼の眼差しで見つめる神花。

この隙に体力回復に努める雅也。

雅也ほど強力ではないものの、正確に攻撃を当てる真也に対して、ジワジワと焦りが隠せなくなっているマージ。


「くっ、くそ!なんでこの俺が!こんな人間なんかの攻撃でここまでの痛みを感じなきゃいけねぇんだよ!!ふざけるな!」

「ごちゃごちゃうるさいし見苦しいぜ。自称神様。結果は結果で受け止めろよ」

「優位になったと思ってるんじゃねぇ!!これでも食らえ!」


触手のようなものをドリル状に変形させ、腕と一緒に合わせて攻撃を仕掛けるマージ。

かなりの手数に真也も捌き切れず数発攻撃を受けてしまう。


「流石バケモンだな。もう色んなものが出鱈目過ぎるぜ。全く…」

「俺を化け物なんかと一緒にするな!俺は神だー!」

「そうかよ。俺には関係ないから、礼の為にもとりあえずテメェはぶっ飛ばす」

「やれるものならやってみろ!人間風情が!」

「お前みたいな化け物に人生めちゃくちゃにされた人の分までやってやるよ!」

「そんなゴミ共のことなんて知るかよ!ここで俺がお前を倒せばお前も同じだ!人間!!」


攻撃を仕掛け合いどちらも一進一退の攻防を繰り広げる。

しばらく続くその攻防を眺めながら神花が呟く。


「たった一人で最初からあそこまで神と渡り合えるなんて…しかもまだあれで自分の全部を引き出せている訳じゃないんだから、これはとんでもない逸材だわ。本当に仲間になってくれてよかった。」


と真也が仲間になってくれたことに喜んでいると雅也が神花の元に歩いてきた。


「大丈夫ですか?お人神様。」

「えぇ。大丈夫よ。貴方が頑張って引き付けて、時間を稼いでくれたおかげでね」

「それなら良かったです。貴方に何かあっては取り返しがつきません。それに、あの時あなたに助けてもらえなければ、今の自分は居ないのですから…。例えこの命に代えても、貴方は俺がお守りします。」

「ありがとう雅也。今後も期待しているわ。でも、まずはあの神をどうにかしてからね」


攻防を繰り広げているうちにだんだんとイラつきを抑えられなくなってきたマージ。


「何かと面倒だから出来れば使いたくなかったが…やむを得まい!【神速の舞】」


高速移動しながら独自の舞をして真也に毒牙を浴びせる。

その挙動に翻弄され、動きを制限され始める真也。


「な、なんだ?急に早さが上がった!?くっ…!変な動きで攻撃が当てずらい…。」

「これで終わりだ!ゴッドブレイク!!」


体の触手のようなものを使った複雑な攻撃を捌き切れず、マージに隙を見せてしまう。

その瞬間、マージは真也に向けてそれを凄い勢いでぶつけ、地面に叩きつけた。

生まれて初めての衝撃と痛みに、すぐに起き上がれない真也。

それを見て自尊心が戻って来たのか、動けない真也を見下ろしながら意気揚々と話し始めるマージ。


「ふっ…ふははははは!!ざまぁみろ!人間風情がぁー!!生意気にも俺様に楯突くからこんな目に合うんだ!!イライラしていたが少しは気分が晴れたぞ。後は貴様の無様な姿を見ながら、ジワジワと嬲り殺してやる!!」


状況的にまずいと悟った神花は急いで雅也に命令する。


「雅也。真也君が危ない。殺されてしまう前に助け出して、二人であのマージと言う神を始末しなさい。」

「了解。速やかに行動に移ります。」


と言うと大きな声を出してマージに向けてこう言う雅也。


「おーい!クソ神ー!俺を忘れてんじゃねぇぞー!俺すらちゃんと殺せてねぇくせにかっこつけてんじゃねぇよー!無能神ー!!」


それを聞いて雅也の存在を思い出し、挑発に対して怒り狂うマージ。



「なんだと…なんだとー!!!クソ虫風情が!!」


目の前の真也の事などお構いなしに雅也へと向かって行くマージ。

その隙を見計らって、気配を消しながら真也の所へ駆け寄り応急処置を施す神花。


「た、助かりました。ちょっといきなりすごい力を手に入れたから何でもできる気になっちゃって…最悪死ぬとこでした。すいません。」

「本当よ。心配したんだから。これに懲りたら一人で突っ走らないこと!まだ色々と慣れてないんだから、力の使い方をちゃんと勉強しなさい。良いわね?」

「は、はい。本当すいませんでした。」

「分かってくれれば良いのよ。それじゃあ早速だけど、貴方に力の使い方をレクチャーするからそれをしかと聞いてすぐに実践して頂戴。いきなりで悪いとは思うけど、時間も余裕も無いから」

「分かりました。教えて下さい。俺が何をしたらいいか。」


と早速受け取った力について教わろうとする真也。

そして雅也は…


「うぉ!?あぶねぇ!うわぁ!!」

「ちょこまかと逃げるんじゃねぇ!」

「避けないと死ぬんだよ!ふざけんな!」

「だからこっちは貴様を殺す気でやってんだ。大人しくくたばれ!!」

「それは無理な相談だな!!」



と必死にマージからの猛攻を捌いて時間を稼いでいた。

はたして三人は、神マージを倒す事は出来るのか。




             続

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