「学生が生贄にささげられる話」
結晶蜘蛛
「学生が生贄にささげられる話」
――――ジリリリ。
自分は時計を止め、伸びをした。
ふと、既視感を感じるが寝ぼけてるためだろう。
昨日、魔導書を読み進めすぎたためだろう。
自分はオカルト好きな大学生。
学生時代、ラノベからオカルトにドはまりした自分は魔導書を買いあさり、ネットを通じて同好の士と解釈を話したり、自分で儀式を行ってみたりしている。
しかし、いまのところ幽霊一つ見たことがない。
だが、オカルトがその地域の文化や歴史と深くかかわってることを知り、民俗学を志すことにした。
例えば天狗。これは山伏から転じて考えられた妖怪とされており、また自分の考えに固執した修行者が堕ちる天狗道が由来とされている。
山で発生する失踪者と天狗の逸話がまざって神隠しの犯人とされることもある。
そのような関連を知るのが楽しいのである。
しかし、オカルトにのめりこんでいた分、あまりリアルの友人は多くないのだが、この度、自分にも春が来た。
なんと、大学生になってから告白されて、彼女ができたのである。
青みがかった長髪で、青いカチューシャで髪をくくったツーテールが特徴的な子。
ヘアピンで髪を止めており、笑うとえくぼが可愛らしい。
自分より2つほど身長が低く華奢な子で、自分の話が面白いからと告白してくれたのである。
こんなかわいい子が告白してくれるなんて!と自分は舞い上がり2つ返事で了承した。
実家に紹介したいから来てほしいといわれ、自分は彼女の実家にいくことにした。
なんでも離れた孤島らしく、船でそこまで行くことになった。
そこにいくと彼女そっくりな子たちが10人ほどおり、なんと彼女の姉妹だという。
僕はびっくりしてしまったが、全員、なぜか僕にやたらと懐いてくるのでそんなことはどうでもよくなってしまっていた。
それから数日、姉妹たちに歓迎されていたのだが……彼女が僕を見る目が怖かった。
†
だまされた。
自分は今、座敷牢に入れられている。
どうも今も島の神に生贄をささげる儀式を続けているらしく、自分はその贄にするために彼女に目をつけられたのである。
座敷牢を激しくゆらすと、経年劣化から牢屋が壊れ、逃げだすことができた。
しかし、土地勘がなく、島から抜け出るには船がいるが、自分は船を運転することはできない。
かくなるうえは、と持ってきていた魔導書をひっぱりだし、島の神をまつる際市場へと忍び込んだ。
どうも、島の人間たち祭祀場に逃げ込んでいることは予想外だったようで、すんなりはいれた僕は際市場の地下で魔法陣を描く。
――炭と塩で円環を描く。
――四方に象徴たる小塔を置き
――真ん中に全員でとった写真をナイフで刺し貫いた。
「かごめかごめ、かごのなかの鳥は――」
そして、逃げながら歌っていた僕は島人にとらえられ、際市場の上で腹を裁かれて死んだのだった。
†
――――ジリリリ。
自分は時計を止め、伸びをした。
ふと、既視感を感じるが寝ぼけてるためだろう。
昨日、魔導書を読み進めすぎたためだろう。
「ねぇ! あなた、何も覚えてないの!? いま何回目の朝かわかってる!?」
彼女がにじりよってくるが何の話かわからない。
自分は彼女に家族の紹介をもらえると聞いてこの島に来たばかりなのだ。
だが、彼女曰く、この島には人身御供の儀式がいまだ行われており、行わないと巨大な神が目覚めて島を亡ぼすらしい。
そして、彼女曰く、今は――――回目の朝らしい。
よく聞き取れなかったが、同じ日を延々と繰り返しているらしい。
理由はわからないが、もしかして自分は生贄にささげられるのだろうか……?
記憶のある島民はもう何度も繰り返す日々に疲れ、儀式を行わないことにしたらしい。
なにかはわからないが人が死なないならいいことだ。
――だが、翌日の明け方、十字の割れた月から無数の管が島に延ばされ島民を吸い上げていく光景を自分は目撃することになる。
自分は縋り付いてくる彼女を抱きしめ、恐怖に震えながらも、初めて見る実物のオカルトに歓喜の念を抱いていた。
――ああ、最後の光景がこれでよかった。
†
そして、
――――ジリリリ。
と、目覚まし時計がなり、自分は時計を止めた。
彼女が部屋にかけこんでくる。
憔悴しきっているようだ、何があったのだろう?、と自分は寝ぼけた目をこするのだった。
開いている魔導書に書かれているページには――円環の儀式と書かれている。
「学生が生贄にささげられる話」 結晶蜘蛛 @crystal000
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