第11夜

 眼を開けてベッドから体を起こす。

 家の中を歩いて玄関まで向かう、キッチンの水道から水滴が落ちる音が妙に気になる。

 玄関に上着は無い。置いてある赤い鍵を手に取る。

 寝巻のまま玄関から外へ出て鍵をかける。外は雨が降っており自販機の明かりだけが静かに照らしている。


 通りに出てコンビニまで歩く。寝巻が濡れていて寒い。

 人のいないコンビニに入る。出入り口付近にあった傘は売り切れている。レジに人は居ない。

 お茶を手に取りポケットからお金だけレジに置いて外に出る。ゴミ箱はゴミで溢れている。


 大通りに向かう。途中の道には空き缶が転がっていた。空き缶を拾って大通りに向かう。

 大通りも人は居ない。黄色信号が点滅している。

 大通りから河川敷に向かって歩いていく。


 河川敷も雨が降っている。

 雨に濡れながら川を眺める。川には静かに流れている。

 川沿いには冷めたお茶がおかれている。


 家に向かって歩き始める。寝巻は濡れていて肌に張り付く。寒い。

 来た時とは違う道を歩く。雨は降り続けている。道のゴミ捨て場にお茶と空き缶を捨てる。


 途中の花壇の花は枯れている。遠くの空が明るくなってきた。

 家から見た自販機がある。ポケットにはなにも無い。


 ドアノブに手をかけると鍵がかかっている。鍵穴に鍵が入らない。

 ノックしてしばらく待つと鍵があく音が聞こえる。扉を開けて家の中に入る。寝巻からは水が滴っている。

 再びベッドに入って目を閉じる。キッチンの水道から水滴が落ちる音が妙に気になる。

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