第24話 坂本と合流

坂本と合流


 ほどなくして、女の子らが揃って店の前に集まった。


 アリサと目が合った瞬間、彼女は俺に声をかけてきた。

「え、真壁さん、さっき食事のときいなかったよね?」


「あ、うん、ちょっと急用ができちゃってさ」

 俺は軽く説明した。


「えぇー⁉ せっかくみんなで集まったのにぃ?」

 アリサがびっくりした顔で言う。


 すると隣に立っていたアッコちゃんが、

「お偉いさんに呼び出されたんだから、しょうがないわよね?」

 と、俺の方だけを見ながら言った。


「そうなんだぁ、なんかすごそう。」

 とアリサが言った。「私、今、失礼なこと言っちゃったかも……」


「いや、気にしないでいいよ」

 俺は軽く言った。


 その後、みんながホテルに着いた頃には、すでにシャワーを終え、さっぱりとした面持ちで部屋に集まっていた。


 部屋には坂本、須賀、直弥、P太郎、優ちゃんが揃っており、湿気で窓ガラスがほんのり曇っていた。


「で、その拳銃、本物なのか?」

 俺は坂本に尋ねる。


「本物に決まってるやないですか。まぁ、ちょっと古い型ですけど、海に向かって練習もやったんですわ。」

 坂本は自信満々に答える。


「使えるやつなのか?」

 須賀が疑問の目を向けて聞くと、坂本は肩をすくめ、

「もちろん。人に向けたことはないけど、アメリカで訓練もしてるし。今回のためにかなり準備したんですよ」

 と言った。


 みんなその話を聞き、坂本に任せることに決めた。優ちゃんも、

「大丈夫だと思います。賛成です。」

 としっかりと頷いた。


「服部の部屋番号、もう分かってるんだよね?」

 坂本が慎重に確認する。


「うん、分かってるけど、いきなり突っ込むなよ。」

 俺はちょっと警告を飛ばした。


「ボク、そんなアホやないですよ。そんな風に見とったんですか?」

 坂本は少しがっかりしたように言った。


「いや、そういうことじゃない。みんなで同じシナリオを共有して、それに基づいて行動したいだけだよ」


 俺が説明すると、坂本は納得したようだった。


 その後、訓練の詳細を聞くと、予想以上に実践的な経験を積んでいることが分かった。


「弾、ちゃんと揃ってんのか?」

 俺が再度確認すると、坂本は得意げに、

「もちろんですとも!完璧に準備できてますよ。」

 と答えた。


 坂本はその後、嬉しそうに話し始めた。


「アメリカには『カベラス』って店があるんですよ。猟銃やピストル、弓矢なんか何でも揃ってて、キャンプ用品やサバイバル用品、書籍、水族館まであって、ほんまに飽きないんです。行くたびに、もう感動の嵐ですよ」


 坂本が無邪気に話す情熱に、須賀、直弥、P太郎も思わず微笑んでいた。


 坂本はそのまま話を続ける。

「アメリカの荒野で、伏せて銃を構え、風向きを計算しながら狙いを定める訓練を受けました。数学を学んでて良かったですわ。日本の教育には感謝しないといけませんね。日本人はもっと外に出て、自信をつけるべきだと思うんですよ」


 その熱意に押され気味になりながら、俺は、

「まぁ、いきなり実践ってわけだけど、頼りにしてるからな、坂本。でも、慎重に頼むよ。」

 と、少しだけ慎重さを求めた。


 直弥はその時、坂本に向かって、

「坂本ちゃん、さゆりのためにありがとう。」

 と、心からの感謝の言葉を伝えた。



   翌日のパレード見物


 翌日、坂本と須賀と打ち合わせを終えた後、三人で外へ出た。


 俺たちはパレードを見物しながら、服部一家の動きをしっかりと追っていた。


 周囲の様子はまるで数式のように整理されているように感じ、その計算された動きが逆に俺の士気を高めていく。


 目の前に広がる景色が、精密な歯車のように完璧にかみ合い、調和を保ちながら現実を満たしている。


 今こそ、レーザーのように集中力を研ぎ澄ませ、計画を実行に移す時だと自分に言い聞かせる。その思いが、意識を奮い立たせる。


 パレードの音楽や、ディズニーキャラクターが踊る姿は、正直ほとんど頭に入ってこなかった。


 今の俺にとって、それらはただの背景に過ぎない。


 ただひたすら、目の前の動きに集中している自分がいた。


 この日の明るい照明と、地面から反射する太陽の光が、人々の動きを一層鮮やかに見せていた。


 群衆は蜘蛛のように散り、まるで闇が雲のように溶けていくように感じた。


 坂本と俺はきびきびと歩きながら、別行動をしている須賀もまた、どこかで同じように動いているはずだった。


 すべてが、計画通りに進んでいる――その確信が、胸を熱くさせる。

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