第30話
「ねえ、今日の秀雄いつも以上に静かじゃない?休み時間もほとんど寝てるし。」
瑠海は卵焼きを口に入れながら話している。いつものランチタイムだ。
「うん…。」
「何?あんた何も事情知らないの?」
「うん…色んなことで頭がいっぱいになっちゃってて…。」
美紀はなかなか箸が進まない様子だ。
「いろんなこと~?」瑠海が疑いのまなざしを美紀に向ける。しばらく眉をひそめて考えてから突然話し始めた。
「本当は1つの事で頭がいっぱいなんじゃないの~?…秀雄のことが心配なんでしょ。…まさか、誰か怪しい人物が浮上してきたとか?」何故瑠海の勘はこうも当たるのだろうか。美紀はまだ半分残っているお弁当を見つめながら言った。
「今日、帰りにちょっと付き合ってくれる?」
学校の帰り道、美紀と瑠海は店に寄り、ドーナツとカフェオレを楽しんでいた。もっとも楽しんでいるのはもっぱら瑠海の方で、カフェオレをおかわりしている。美紀はいつもなら秀雄と一緒に帰っているのだが、今日は先に帰る旨を告げてきたので瑠海と2人きり。瑠海も高橋に同じ事を言ってきた。
「…なるほど、じゃそのコンビニの店員が秀雄に近付いているような気がするってわけね。気がするだけだと思うんだけどなあ。お礼のメールくらい誰でもするんじゃないかなあ…。で、どんな人なの?その朝田さんて。」
「女らしくて…綺麗な人で…笑顔が可愛くて…話が面白くて…面倒見が良さそうな明るい人。」美紀は指を折りながら喋っている。
「は~、完璧じゃん!まともに戦っちゃ勝ち目はないね。」
「やっぱりそう思う?」美紀は情けない顔で言った。
「そんな顔するもんじゃないよ。美紀、世の中の女性全員がダイヤモンドのことを気に入っていると思う?」
「え?」
「いいから答えて。」
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