第2話

「でもさぁ、少しでもいいからさ…事前に分かればなぁ…。

もし分かったら、私神様信じるよ。」

瑠海は握りこぶしを作りながら、先月と同じセリフを言っている。


「あ、私も!」

これも同じ。秀雄がニヤッと笑った。これを美紀が見逃す訳がない。


「秀雄、何がおかしいの!」



「あ、いや…。」



「あんた達、本当にお似合いだわ。」


勉強は遅々として進まないでいた。もう日が暮れている。



「ねぇ、6時になったらさ、また警備のオジサン巡回に来るんじゃない? 『もう帰れよ!』 とか言っちゃってさ。あの話し方聞くと反抗したくなるんだよね。悪い事してる訳じゃないのに怒られてるみたいでさ。こっちは勉強してるんだよ!学校で勉強して何が悪い!」


「瑠海、後ろ…。」

美紀が小声で言う。

「え?え?まさか…。」

ゆっくりと後ろを振り返る瑠海…。しかし、誰もいない。


「嘘だよ~。引っ掛かった!」


「またやられた。」瑠海は情けない顔をしている。これで3度目、よく引っ掛かるものだ。秀雄はまたもや笑いを堪えていた。


「さ、秀雄、瑠海、帰ろ。この続きはまた明日!」

言うが早いか美紀はとっくに帰り支度を済ませ、立ち上がっていた。

その後に瑠海、秀雄が続く。



「じゃ、また明日ね~。」


「はいよ、お2人さん!」

3人はいつもの交差点で別れた。

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