たすけてが聞こえた。
- ★★★ Excellent!!!
「あたしいなくなるの――」
欠陥アンドロイドはこの夏、内緒でお別れなのです。
そう言って女の子はさみしげに笑った。
どうにもできず、どうにかしたくて、どうしようもない夜に、二人は手を取り逃げ出した――。
たどり着いたのは浜辺。苦悩が横たわる街道を抜け、葛藤が幅利かせる町からはるばるチャリで二人。
『たすけて』って聞こえてた。ずっと。どこか遠く、すぐそばから。
はて、あの声は誰の声――。
月を映した波が引き取った、どうしようもない困りごとは黒に溶けて、そしてやっぱり日は昇る。
素敵なお話です。