第37話

不思議そうに耳を傾けながら、蓮先輩はそう呟く。


静かに音楽を聴いているのに、私はまったくもって耳に入って来なくて。


近い距離にいる蓮先輩に心臓の音が聞こえてしまわないかと、ビクビクしていた。



こんなにドキドキするなんて、


こんなの、恋に決まってる。



蓮先輩が近くにいるだけで、声を聞くだけで、名前を呼ばれるだけで、


一瞬にして、私は私ではいられなくなる。




初めてのことだった。



初めての、恋だった。

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