(初めての恋は、不毛)

第1話

憧れ続けた好きな人と、その隣にいるお似合いすぎる彼女。


彼の姿を見た瞬間、約3年ぶりに会ったのに、私の想いは変わっていなかったのだと気づく。


そして同時に、私は見事に失恋したのだ。




「久しぶりだな。元気にしてたか」




相変わらず優しく、彼は私にそう言う。




「お久しぶりです…蓮先輩」




隣にいた彼女はキョトンとしながらも、嫌な顔一つしていなかった。


そんな彼女に、サラリと私を紹介する彼。




「中学の時の後輩。お前と同じ年」


「あ、そうなんだ」




そう言って笑った彼女は、自分と同じ年には見えないくらい大人っぽい。




「はじめまして、湯浅愛羅です」




にっこりと笑った笑顔に、私はきっと引きつった笑顔しか返せなかった。


あぁ、勝てるはずがない。



その日私は、何度目かの失恋をした。

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