第17話

4月16日


「おやじ、おはよ〜。」


ふふふふーん🎵と、思わず鼻歌を歌ってしまう。


「ハルカ、なんかいいことあったのか?」

「いやー、なにも〜。」


自分でも驚くほど、紅潮しているのがわかる。


フライパンで焼いていた目玉焼きをくるっとひっくり返す。


よし、バッチリ。


時間のある朝は、目玉焼きを上下両方じっくり焼いて食べるのが私流。


ちなみに、目玉焼きにつけるのはソースでもケチャップでも醤油でも、なんでもいい。

そこに、特にこだわりはない。


「ねぇ、おやじ。」

「ん?」

「人生って、まぁいいか、で結構なんとかなるもんだよ。」


おやじそっくりのドヤ顔をしてみる。


「それ、僕のセリフだから!!」


へへへ。

ここに来て、楽しくなってきた毎日。

それも、ポジティブおやじのおかげかな。

あ、そうだ!おやじにありがとうって言わなきゃ。


「ねぇ、おやじ!ありがとね。」

「って、あれ??おやじー??」

「おやじー??」


「うわぁぁぁぁ。」

「おやじ!?」


急いでキッチンから部屋に向かうと、おやじが服の山に埋もれてた。

急いで、救出する。


「この辺歩いてたら、急に服が落ちてきてさー、全く、ハルカ。なんだ?これは??」


今朝は、洋服選びもルンルンだった。

これじゃない、んー、これも違うなーなんてやって

一度試した服はハンガーにかけることなく棚に置きっ放し。

あまりにもそれを何度も繰り返したもんだから……



こういう始末だ。

積み重ねられた服が雪崩をおこしたらしい。


おやじが小さい体を全部使ってプンスカ怒っている。


「もー、ごめんって。」

「うぅー、仕方ないから許す。」

「ほんとごめん!!」

「そういえば、さっきなんか呼んでなかったか?」

「うん!呼んでた!!けど、まぁいいや!また今度で!」


すっかりありがとう、なんて言う雰囲気ではなくなってしまった。

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