第18話

エンドロールでスタッフロールの横に、母の日記。


二月一日


 今日は葉月がアイドルになる夢を見た。


 葉月がアイドルになる日がくると思うと今から楽しみです。




白紙


 風でページがめくれる


 ノートに日記を書く葉月。




十月六日


 お母さん、私お母さんと同じ病気にかかっちゃった。


 これからどうすればいい?


十月二十日


 鏡を見るのが怖い。


 あんなに楽しかったメイクも今は全然楽しくない。


 私、いつまでアイドル続けられるのかな。


十一月十日


 スターナイトムーンのライブが決まった。


 これが最後のライブになるのかな。


 最近、何をやるにしてもこれが最後かもって考えてしまう。


 アイドルを辞めるのも、続けるのも怖い。


十一月二十三日


 七星に病気のこと伝えられない。


 七星の笑顔を壊したくない。


 私がアイドルを辞めるって言ったら七星はどう思うのかな。


一月六日


 最近、すぐ息が上がってしまう。


 もう潮時なのかな。


 タイムリミットが近づいてくる。


一月十日


 今日は七星に病気のことを伝える日。


 すごく怖い。


 七星は病気になった私を受け入れてくれるかな。


一月十三日


 今日は初めてウェルナー症候群の患者さんが集まる会に行った。


 今までこの病気にかかったことがすごく不幸なことのように感じていたけど、そうじゃないんだなっておもえた。


私は病気になんか負けない。


初めてそう思えた。


 すぎた時間は帰ってはこないから一瞬一瞬を大切に生きたい。


一月十四日


 アイドルを辞めてから、少し時がゆっくりになったような気がした。


 改めて自分の人生を見直して、あることに気づいた。


 私は幸せ者だ。


 大好きな友達と夢を叶えることができた。


 大事な経験をたくさんした。


 どんなに老けても絶対になくならない大切なものをたくさん持ってる。


 私は幸せすぎたのかな。


一月十七日


 アイドルを辞めて、しばらくしていなかったお化粧をして見た。


久しぶりの鏡。


ねぇ、お母さん。


 私、やっぱりお母さんに似てるんだね。


一月二十日


 夜空ノムコウ。昔からよく七星と聞いた曲。


 わたしが死んだら、お母さんにあえるのかな?


 七星のこと見守っていられるのかな?


 お父さんも、ゆづきも強く生きていってくれるかな?


 私が残せたものってなんだろう。


みんなの夜空の向こうには明るい明日が待っていますように。




スターナイトムーンのホームページを見ている七星。


どんどんメッセージが届く。




                 End

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【脚本】DAWN @hinax0309

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