五家の誓い

鬼畜な男がだんだんと自分を取り戻すまで

第0.5話 愛する人と一緒になりたくて

 愛する人と一緒になりたい。

だから、実家に伝わる誓いを果たす。

この『五家の誓い』を立てることが出来れば、ひいじいちゃん、大爺様は認めてくれるだろう。

如何に父親が反対したとしても。

そのくらいの偉業であることは知っている。


 幼い頃から心の大部分を占めていた、3つ歳上の女性。

僕の我儘に抗い切れずに、秘め事を繰り返した2人。

 身体の相性は最高で、さらに最愛の女性。

 しかし…

繰り返し密会していたのが父親にバレて、引き離されるように、遠くに行ってしまった。


 以来、父親は俺に他の女性をあてがい、俺はまともじゃなくなった。

父親に当てこするように、あてがわれた女性を弄んでは捨てる。

良家のお嬢様だろうが、プロの商売女だろうが、散々、弄んでは飽きた頃合いで捨てる。

 ほとほと父親も困っただろう。


 俺はある日、ひょんなこてから、実家に伝わる『五家の誓い』という儀式を知る。

 その儀式を行い、誓いを立てた者へ、五家は忠誠を誓い、末永く惣領として認める。


 これだ。

 儀式を完遂し、誓いを立てさえすれば、父親は関係ない。晴れて、あの女性を迎えることが出来るはず。


 期限は3年と定められた。

 母親は反対したが、父親は特に何も言わなかった。

 ひいじいちゃんは、3年で未熟な己の有り様を見つめるが良い、そう言って俺を送り出した。


 大学に入学して、3年間で。

 俺はあの女性を取り戻すために、誓いを立てる。


 そうして、物語りは始まった。


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