001:文学少女とロボットJK
1-1
それは
静かな
けれど、そんなのはまだまだ
*****
十五歳の高校一年生。セーラー服を着て、長い髪を
そして、友達がいない。
そんなふうに思われるくらいなら、一人でいるほうが
現在、
授業がおわると、
「あーきづーきさんっ!」
「ひぁぅ!?!?」
いきなり後ろから両肩を
「えへへ。へんな声だしてかわいいね!」
そんな
「うわさどおりの『
なんて、
「だ、だれですか?」
まだばくばくしている心臓を
「敬語じゃなくていいよ。わたしたち同じクラスになるから!」
そう言って、
「明日、一年B組に転入予定の
どうやら彼女は転校生で、明日から
しかし、
「となり座るね!」
「え、なんで」
――すごく近い。近すぎる。
ねおんは
「近すぎだからもっと
「べつにいいじゃん、仲良くしよ?」
「やだ。離れて」
「なに読んでるの? わ、なにこれ~」
なんなんだ、この
「なになに……『ねじまき少女』? 難しそうなの読んでるね。どんなお話なの?」
ねおんが
こういう質問は、普通に答えたらダメなのだ。『これは未来のタイを舞台にいろんな登場人物がトラブルに巻き込まれていくお話で……』なんて説明をしても面白いわけがない。会話が盛り上がらなくて、変に気まずい空気を作っておしまいだろう。
「な、なんでもいいでしょ! いいから離れてよ」
「
「そうだけど……」
「『ぼっち』ってやつだね!」
「は?」
にこにこ笑顔のねおんに、まなじりを
「ぼっちじゃない」
「でも、ずっと一人で読書してるんだよね?」
「うん」
「たまには友達と遊びに行ったりもする?」
「それはしないけど……」
「じゃあ、『ぼっち』だね!」
「……なんでそんなひどいこと言うの?
ちょっとだけ
「やっぱり友達ほしい? それともいらない?」
なんて、ねおんが笑顔で聞いてきた。
「いらない。もうほっといてよ。はやくどっかいって」
半泣きの
「おっけー! では、わたしが友達になってあげましょう!」
「ねえ話聞いてた?」
「これからは『あやせ』って呼ぶね。あ、わたしのことは『ねおん』って呼んでね!」
ダメだ。このハッピーブルーはまったく人の話を聞いていない。
「帰る」
「いっぱいしゃべりすぎちゃったかも。ごめんね……?」
ねおんが申し訳なさそうに
「わかったならどっかいって」
「仲良くしようよ~」
「やだ」
「でも、あやせに言わなきゃいけないことがあってぇ……」
「……言わなきゃいけないことって、なに?」
すると、ねおんはぱあっと表情を明るくして、
「わたしはね、あやせを『
「はい?」
「だからね、この
「待って、やめて! しゃべるのやめて! いきなりなんなの?」
ねおんが説明した内容はほとんど理解できなかった。わかったことといえば、
「ちょっと難しかった? どこがわかんなかった?」
「どことかじゃない。全部」
「そっかー。ん~……」
数秒考え込んでいたねおんは、パッと顔をあげて説明を再開した。
「あやせはね、めずらしい力を持った特別な存在なんだよ」
「えっ……」
そう言われた
「うぐぅ……! せっかく忘れかけてたのに~~っ!」
急に頭をかかえた
「髪ぐしゃぐしゃだよ? 直してあげよっか?」
「やめて、ほっといて……」
ねおんの
「……結局なんなの?」
「この
「それはもういいから!」
「え、なにそれ」
「これはね、小型イオンライフルだよ」
「小型イオンライフル……?」
「なになになに!? ちょっと待ってよ、何個あるの!?」
「まだ十個くらいあるよ」
「もういい! わかったから! もう出さないでいいっ」
「別にこわくないよ?」
「ほんとになんなの、これ」
「これはね――」
そう言いかけたとき、ねおんがハッとしたように顔をあげた。
「やば、誰かくる!」
彼女が言ったのとほぼ同時くらいに、
「おねがい、手伝って~!」
ねおんが球体をスクールバッグに放り込みながら
とりあえず謎の直方体を手に取ると、ねおんがスクールバッグの口を大きく開けた。
「あやせっ、それ早くしまって! あーだめだ時間ない!」
「そもそもこんなの持ってくる方が――」
言っている
そんな彼女の顔が
「――はぷ!?」
しゃべっていた
「ん~……っ!? んぅ~……」
ふたりの口がいっしょに動いて、熱い
『――えっ!? あ、ごっ、ごめんなさいっ!』
遠くからそんな声が聞こえてきて、ぱたぱたと走り去る音がした。
その反応も当然だ。
人気のない
「――ぷは」
気付けば、ねおんは
「すごいのを見せて帰ってもらう作戦、うまくいったかな」
少し顔を赤くしたねおんが言った。
そんな
「ごめんね、これしか思いつかなくて! もしかして、ちゅーするのはじめてだった?」
その質問に、
「でも安心して。わたしならノーカンだよ! 練習だと思ってくれればいいからっ」
「……は?」
「だからね、えっと……!」
必死に
――わかった。この子はとんでもないバカなんだ。
今のは、しゃべっている
だいたい、
というかそもそも、
「帰る」
「あやせ、怒ってる? やっぱりちゅーするのやだった?」
「別に。バカなのかなって思っただけ」
「え!?」
そんなハッピーブルーを置いて歩き出すと、後ろから声がかけられた。
「そのまま帰るのは危ないよ! 送ってあげようか?」
「大丈夫! 絶対ついてこないで!」
「わたしも、用意はしておくね」
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〈近況ノートにてイラストを公開中です〉
・秋月綾世
https://kakuyomu.jp/users/kopaka/news/16818622170559338148
・才華ねおん
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