終着点の2人には
山根 くもり
終着点の2人には
聞き慣れた機械音声のアナウンス。
聞き慣れない駅メロ。
車輪と線路の擦れる音を聞き流して、見慣れた顔にお別れを。
-----終着点の2人には-----
「…じゃあ、俺、この電車だから。」
「…そっか、またね。もう…終わりなんだ。」
寂しそうに声を落とす私を、まぶたを半分だけ落として視界から流す君。
クリスマス前、午後11時、終電にて男女は別れる。
冷めきってしまった少年少女は、どんな手段でも戻らない。レンジで温めても、トースターで焼いても。たとえ、核融合炉に落ちたとて、温まらず溶けるのみだろう。
LEDが照らす街は、やけに騒がしかった。
「…クリスマスマーケット、行きたかったな。」
少女が零したその一言は、涙腺を開くのには十分な時間であった。
溢れてやまない涙、眩しくて仕方がないイルミネーション、騒がしくて仕方がない雑踏。
溢れてやまない、思い出。
イルミネーションの明かりも無くなり、足元を街灯が照らす頃、踏切の音が走る。
ふと、少女が顔を上げた先には、0.1秒も見えなかったが確かに認識できた、少年の顔があった。
もう二度と、もう二度と、見たくもなかった顔だった。嬉しくもない、悲しくもない。ただ、悔しい。苦しい。叫びたい。
少女は明かりのついた家へと着く。母の温もりも、温かいご飯も、暖かい布団もある。ただ一つ余分なのは、冷めきったハートだけ。
終着点の2人には、終着点の2人には、どんな結末があっただろう。これより酷かっただろうか。これより優しかっただろうか。真冬の雪すら、溶かしてくれただろうか。
時は戻せない。ヨリは戻せない。
路線を間違えなければ、行き先を間違えなければ、まだ2人だっただろうか。
終着点の2人には 終
終着点の2人には 山根 くもり @kinmokusei_GL
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