第65話

社長が言わんとする意図が見えず、そしてなぜ途中で言うのを止めてしまったのか疑問に思うが説明される事はなかった。


 シバ社長のような影響力のある人物が、よりによって本人の口から直接”婚約宣言”なんてすればあっという間にリーベンビルズ他、ビレッジ内すべての人に耳に入るのは当然の事。

 イトカを知らない人達が大半だけに、様々な憶測が飛び交う。


 『一般庶民が金のために玉の輿を狙った』

 『社長を誘惑して寝取った』

 『庶民に手を出したシバ社長は落ちぶれた』


 今後の社長生命に関わる事を恐れた。


「婚約の契りとなる誓約書だ」


 引き出しから取り出した1枚のA4サイズの紙をイトカに見せるようにデスク出され、『婚約に誓約書って……』と改めて金持ちのする事は違うなと感じつつ用紙に目を通す。


「本当にします? 婚約……」


 いろんな意味で心配になり社長に聞いてはみるが。


「当たり前だ。俺に二言にごんはない」

「そうですか……」


 胸を張って堂々と言われてしまうと何も言えなくなってしまう。

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