第16話

しかし社長が素直に応じる事もなく。


「今晩、俺と来い」

「……はぁ」


 一切こちらの要求は受け入れず主語もない命令に呆れてしまうが、今晩なにがあるかはだいたいの想像は出来ていた。

 

 昨日、言われた通りに荷物をまとめて実家を出てきているから、たぶん今日から住む部屋の案内なのだろう。

 まだどこに住むのか何1つ伝えられていない事にモヤモヤしているが。


***


 21:00―――

 仕事を切り上げた社長の後をついていくと、リーベンビルズの建物を出てセレブ街を通った先、レジデンスの奥に位置する豪邸に連れて行かれた。


「まさかココなんじゃ……」


 立派な門を目の前に『絶対ありえない』と足が止まっていると、お構いなしに待ってくれない社長。


「何してる。早く入れ」


 イヤな予感が頭を過るが、ひとまず言う事を聞いて中に入る事に。


 外から見ても迫力があった豪邸だが、中はまるでマンガに出てくる城のよう。

 確かに金持ちが集まる町。大富豪がこんな立派な家に住むのは当たり前かもしれないが、庶民のイトカには到底ついていけない。

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