第45話 チョコレートミルク
ココアの混合物が冷えて、ツヤツヤとしたほろ苦い形に固まると、私は木の切り株に寄りかかった。焙煎したココアの鋭い香りはまだ漂っていたが、生チョコレートペーストをかじりすぎたせいで舌が痺れていた。
美味しかった。いや、最高だった。喉の奥にしがみつき、もう一口食べようと思わせるような味。それでも…私は温かいもの、ハーブティー以外のものが欲しかった。長い間ハーブティーを飲んでいたので、何か新しいものを飲みたかったのだ。
私は、エーリッヒ兄さんが焚いていた小さな火で、まだグツグツと煮えているポットをちらりと見た。花のような、かすかに草のような香りが漂ってきた。ここ何日も使っている乾燥した森のハーブのブレンドだ。確かに心地よく、落ち着く。でも、私は飽きていた。
「またハーブティー?」私はそう呟き、蓋を持ち上げようと手を伸ばした。湯気が噴き出し、顔が曇った。
エーリッヒは、冷めたチョコレートをワックスで包んだ袋に丁寧に封をしていたところから顔を上げた。「気に入らないのか?」
「何度も気に入ったからな。あのフェンネルミントミックスをもう一口飲んだら、葉っぱが舞う幻覚を見てしまう。」私はため息をついた。
「わかった、好き嫌いの多い子。それで、何が欲しいんだ?このココアっていう果物で何か作りたいのか?」
「…!」
それでいい考えが浮かんだ。
私は魔法のバッグの側面を軽く叩いた。
「実は…」
中へ手を伸ばし、私は指が滑らかで丸いもの――断熱ガラス瓶――に触れるまで探した。私はそれを取り出し、栓を抜いて匂いを嗅いでみた。ほのかなクリーミーな甘さ。
牛乳。
以前、私がシュトゥルムブルクを訪れた際、屋台の店主から新鮮な牛乳と交換したことがある。私はまだ成長段階にあるので、まだ使ってはいなかったものの、牛乳が必要だと感じていたのだ。
私は数日前に購入したにもかかわらず、購入した当日と変わらず新鮮だった。魔法のバッグのおかげで、時間が止まり、保存に最適だったのだ。
「完璧だ」と私は囁いた。
「牛乳?ずっと牛乳を持っていたのか?」
エーリッヒ兄さんは困惑しているようだった。
私はクリーミーな液体を小さな鍋に注ぎ、火で温められると、柔らかい「ゴロゴロ、ゴロゴロ」という音が響き渡った。
「保存食だから、袋の中では時間が経たない。それが魔法の保存食の利点だ。腐敗も、劣化も、望まない限り発酵もしない。」
「実は、ちょっと怖いんだ」
彼は頬を掻いた。
「便利だってことか」
牛乳が軽く泡立ち始めたら、私は残しておいた砕いたチョコレートペーストを、魔法で作った木のスプーンでゆっくりと混ぜながら加えた。混合物はとろみがつき、色が濃くなり、そして香りが…ああ、あの香り。
それはまるで、私が知らなかった記憶から、温かい波が押し寄せてきたようだった。
甘い。濃厚で、ほんのり苦い。
カップの中の抱擁。
私は甘さを引き締めるために塩をひとつまみ加え、先ほど加工しておいた甜菜糖シロップを少量加え、チョコレート本来の深みを損なわない程度の甘さに仕上げた。
最後に、私は二つの木のカップを魔法で作り、ベルベットのような飲み物を、涼しい夜の空気の中で静かに湯気を立てるまで注いだ。
「はい」と私は言い、一つをエーリッヒ兄さんに差し出した。
彼は両手でそれを手に取り、縁を嗅いでから一口飲んだ。
彼はたちまち目を見開いた。
「…!」
しばらくの間、彼は何も言わず、ただカップを見つめていた。まるで人生の意味が込められているかのように。
「これは…」彼はついに低く、敬虔な声で言った。「今まで飲んだ中で一番美味しい。」
「そうでしょう?」
「飲み込みたくもない。」
「もっと作ったよ」と笑った。
自分のカップから一口飲んだ。温かさが瞬時に喉を伝い、森の夜の冷気を吹き飛ばした。クリーミーでベルベットのような舌触りが舌を包み込み、ローストココアのほのかな苦味へと溶け込んでいった。そして後味がやってきた。滑らかでまろやか、そして深みのある甘さ。体を温めるだけでなく、胸の奥に何かを灯した。
エーリッヒはカップの縁を舐め、小さくうめいた。「これだ。もっと飲みたい。これが私たちの冬の飲み物だ。もう薬草スープの水は飲まない。」
私は背もたれに寄りかかり、頭上の空に散りばめられた星空を見つめた。「まだやるべきことがある。純粋なココアバターを抽出する方法を見つけないといけない。バニラを加えてみたり、いつかホイップクリームを加えてみたり。」
「これよりいいものがあるってこと?」
「ずっといいよ。」
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