川辺の呪い:流しびなの恐怖

辛巳奈美(かのうみなみ)

恐怖

春の夜、村は静寂に包まれていた。桃の花びらが風に舞い、川のせせらぎが不気味な音を立てていた。今日は村の伝統行事、ひな祭りの日の夜に行う、流しびなの祭りの日だ。しかし、この村には古くから伝わる恐ろしい伝説があった。


数百年前、村には一人の霊媒師が住んでいた。彼女は村を守るために流しびなの儀式を行っていたが、ある年、村の人々は彼女を裏切り、災厄を招いたとして彼女を追放した。霊媒師は深い恨みを抱きながら村を去り、彼女の魂は川に宿り、人形を通じて災厄をもたらす存在となったという。


その伝説を知る村の外れに住む少女、美咲は、祖母から受け継いだ人形を大事に抱え、村の中央広場へと向かっていた。広場には、既に多くの村人たちが集まっており、色とりどりの人形が並べられていた。


「美咲ちゃん、おはよう!」と声をかけたのは、同い年の友人、翔太だった。「おはよう、翔太。素敵な人形だね。」美咲は微笑みながら答えたが、その笑顔は硬かった。


その日、村の長老が儀式を執り行い、人々は一斉に人形を川に流した。美咲と翔太は並んで川のほとりに立ち、自分たちの人形が流れていくのをじっと見つめていた。


「美咲ちゃん、この儀式って本当に災厄を払えるのかな?」翔太がつぶやいた。「きっと大丈夫だよ。おばあちゃんが言っていた。心を込めて願えば、どんな災厄も遠ざかるって。」美咲は優しく答えた。


しかし、その夜、美咲は奇妙な夢を見た。夢の中で、人形たちが川から這い上がり、村を襲う光景が広がっていた。目が覚めた美咲は、冷や汗をかきながら息を整えた。


翌朝、村には不穏な空気が漂っていた。村人たちは次々と奇妙な出来事に見舞われていた。家畜が突然死したり、井戸の水が赤く染まったりと、災厄が次々と襲いかかってきたのだ。


翔太は美咲に恐ろしい伝説を聞き、二人はその恐ろしい伝説を信じて、再び川のほとりへと向かった。すると、川の水が突然黒く染まり、人形たちが不気味に浮かび上がってきた。


あわてて逃げ、浮かび上がってきた人形から逃げ切ると「美咲ちゃん、これは一体どういうことだろう?」翔太が震える声で言った。「伝説が本当だとしたら、私たちの村はこのままでは危ない。」美咲は真剣な表情で答えた。


その晩、村の家々に恐ろしい出来事が次々と襲いかかった。家畜が狂ったように暴れたり、井戸の水が血のように赤く染まったり、村人たちが奇妙な病気にかかったりと、災厄が次々と現れた。


美咲と翔太は、村を救うために再び川のほとりへ向かい、祖母の言葉を思い出しながら祈りを捧げた。「どうか、村をお守りください。」美咲が願うと、川の水が再び透明になり、人形たちは静かに流れていった。


しかし、そのころには、村人はすでに全員亡くなっていた、美咲と翔太が

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