第4話

「あの…」



そいつはオレを見て、困ったように俯いて、もう一度、オレを見据えた。



「あの喫茶店で、友達が見てるんです。待ち合わせの人が来るまで、帰っちゃダメだって…」



はっきり言って、オレには何も関係ない話だ。



だから、どうだというのか、眉根を寄せた。



「友達に、好きな人はいないのか聞かれて、本当はいなかったんですけど…、信じて貰えなくて…、適当な人を指さしたんです」



そいつの紙袋を持つ手はカタカタ震えていて、困ったように眉を下げている。



「だから?」



「その人と、今日、デートをしろと言われて…、約束を取り付けるように言われたんです」



はっきり言って、全く意味がわからない。



何が言いたいのか、イライラした。

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