第5話

「…性格良い?っ、どこがよ!黒い噂絶えないじゃない!!」



「…噂?」



「女たらしとか、お金のためなら何でもするとか、権力使って好き勝手してるとか!」



「でも、それは噂でしょう?」



「火のないところに煙は立たない!!絶対性格悪いって!」



桃華は全力で拒否する。



「…そうか?悪そうには見えないけどなぁ…」



俺は不覚にもポロッと言ってしまった。








「じゃあ、翔にぃが行ってきてよ!!」



「…はぁ?」



何言ってんだ、我が妹よ…



「私になりすまして、お見合いして来てよ!!」



「…はぁぁ!?無理だろ!!」



「翔にぃがちゃんと見てきてくれて、良い人だったらまた改めてお見合いする」



「何言って…」



「じゃなきゃ、お見合いしない」



出た、わがまま桃華。



「…そうねぇ、じゃあ翔行ってきてくれる?」



母さんまで俺を見る。



「えっ…正気?」



「大丈夫よぉ、翔、桃華と似てるから♪」



「私より全然、可愛いし!!」



パンッと手を叩く桃華。



「よし!決まり♪」



「いやいやいや、ちょっと待っ」



「桃華の未来は翔にかかってるわ!しっかりね?」



「よろしくね、翔にぃ!」



「…ちょ…」



「はい、コレ」



渡されたのは、お見合いの場所と時間が書かれている紙。





…俺は逆らえなかった。

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