「感覚の1秒間、シャッターが下りるその瞬間」
kiwa
「感覚の一秒間、シャッターが下りるその瞬間」
夜、都会の街路は橙色と青色が互いをはじきながら、夜が染まっている。
片手を頭上に持ち上げる。人の視線が猛然と並べられた。
誰よりも高くに位置していた。
「何か面白い記事を書いて来いよ」
上司から言われたことを思い出す。
パソコンの画面を見ていた。
「文字数は稼がなくていい。お前が面白いと思うものを、持ちページに載せてこい」
自分の机の上に、横から1枚の用紙を置かれた。
自分の枠が空白で、それ以外は埋まっている雑誌のページ。
「何かあるの」
街を歩く人。
誰も目にとめていない。僕だけに認知されている情報が、そこにはあった。
これまでずっと一人で見つめていた視界を、そのまま残すことができるんだ。
記憶をそのまま、人々に証明する。
いつも通りのその視界に向かって、カメラのレンズを当てる。
人々の瞳孔が狂っている、そういう感覚で。
――――――取材会場――――――
「誰にも見たことのあるはずのそれを、みんな見落としている」
不規則に、取材のフラッシュが続く。
「簡単なはずなのに。まだ間に合うのに、見落としてしまう」
僕を撮ったところで、人々の記憶には残らない。
「時間は有限であることを、忘れないでほしい」
「感覚の1秒間、シャッターが下りるその瞬間」 kiwa @Black4949
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