第24話

「真央だけだよ」





怒ったようにそれだけ告げて黙ったままなのは、照れてるだけだって分かってる。


それでも繋がれたままの手の温もりを感じて、ふふ、と笑みが溢れた。











「今日もありがと」


「…ん」





いつもの道だけどいつもと違う道を帰ったあと、また家の前まで送ってくれた直人は、何かを考えてるのか、絡んだ指先を解こうとはしない。


私もまだ離れ難くて、人差し指を掴んだ。





「ナオ」


「…なに?」


「私もナオだけだよ」





本心を曝け出して告げた言葉に、直人は弾かれたように顔を上げて。


くしゃりと笑って、俺も、と言った。





「知ってるよ、さっきも聞いた」


「うるさい」





そして街灯の下で、触れるだけのキスをくれる直人が、


ふわりと柔軟剤が香る距離と柔らかい唇が、好きだと思った。



















「(俺なんか、3歳の頃からずっと真央が好きだったよ)」


「(本当は多分、小学校に上がるよりも前からナオが好きだったと思うよ)」





似た者同士の私たちが真実を知るのは、

もう少し先の話。

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