第24話
「真央だけだよ」
怒ったようにそれだけ告げて黙ったままなのは、照れてるだけだって分かってる。
それでも繋がれたままの手の温もりを感じて、ふふ、と笑みが溢れた。
「今日もありがと」
「…ん」
いつもの道だけどいつもと違う道を帰ったあと、また家の前まで送ってくれた直人は、何かを考えてるのか、絡んだ指先を解こうとはしない。
私もまだ離れ難くて、人差し指を掴んだ。
「ナオ」
「…なに?」
「私もナオだけだよ」
本心を曝け出して告げた言葉に、直人は弾かれたように顔を上げて。
くしゃりと笑って、俺も、と言った。
「知ってるよ、さっきも聞いた」
「うるさい」
そして街灯の下で、触れるだけのキスをくれる直人が、
ふわりと柔軟剤が香る距離と柔らかい唇が、好きだと思った。
「(俺なんか、3歳の頃からずっと真央が好きだったよ)」
「(本当は多分、小学校に上がるよりも前からナオが好きだったと思うよ)」
似た者同士の私たちが真実を知るのは、
もう少し先の話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます