第11話

だから嫌なんです



てか女の子ですもの




息子が育ったらつきあわなきゃいけない覚悟はしてますよ



しかし虫女でその覚悟をするというのは




私に試練を与えているのですか?

私に予行演習をしろというのですか?




こんな思考をよそに

遥はさっそく行動してます



『…えいっ!ああ逃げられた…おばちゃんとってえ~』




遥よ

せみは長い土の中で

外へ出るのは短いのだぞ




そんな短い生涯を

虫かごはかわいそうではないか?




こんなことを言ってもおそらく無理だろう




『そーっと横から横から』



遠目でとりあえずアドバイスする監督な私



『横から……ああっ!』



みんみんみん…

…………びちゃっ!



!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!




遥がとりそこねたみんみんが…



まさしく今私の胸元にブローチと化した




『…うぉぉおおー!!!!!!!!!!!!!!ぎゃあああー!早く!

は、早く!とって!

早く!』



その場でコミカルダンスする私だが

ブローチになったみんみんはなかなか生き物に戻らない



『早く!遥!あんた何しとんじゃい!』



飽きやすい虫女は

だんごむしに夢中になっている!



『こるぁぁぁー!

ぬぉぉぉー!』



会心の一撃を狙うも

息子を抱えてるため踊るしかできない!




その息子も揺さぶられてるためキャッキャッと笑っている!




もうだめだ!

死ぬしかない!



そんな時だった



『あんたたちはいつもほんとに何やってんだい暑苦しい』




出た…我が家の組長こと



ツタエさん




『生き物をもてあそぶんじゃないよ!』




こうしてブローチと化していたみんみんぜみちゃんはおぉばあちゃんの手によって




再び青い空へと旅たっていったのである





その時やはりみんみんちゃんは私にちっこを残した

のを

私が見逃すはずもなかった




上野家家訓



『生き物はブローチにはできないのは基本である』

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