第6話

しばらくして、ゲーム機のインターネット機能で繋いでいたチャット機能がサービス終了する事になり、IRC(Internet Relay Chat)へ移行してチャットを続けていく事に。


私は知人から譲り受けたパソコンでチャットをするようになり、個別に部屋を作って管理し、すっかりチャット上級者になっていた。


私も知人から譲り受けたパソコンでチャットをするようになり、個別に部屋を作って管理し、すっかりチャット上級者になっていた。


他の仲良しメンバーもPCを使う人が増えていき優斗もその一人だった。


『電話線ってすごい!!!』


ことあるごとに、優斗はチャットで叫んでた。


こんな電話線一本で全国の人達と出会えて文字で会話できるなんて、当時は画期的だったのだ。


この電話線のおかげで、優斗と出会うことが出来たなんて。


モジュラージャックに繋がれた電話線が、私には運命の赤い糸に見えてしかたなかったよ。


そしてみんなはチャットしながらメンバーの携帯に電話したりもし始めたけど、私はその時まだ携帯電話は持ってなかった。


世間ではちょうど1人1台携帯電話を持つ時代になりつつある頃だったけど、私は会社も辞めたしということで、それまで持っていたPHSも夫に強制的に解約させられていた。


だからチャットメンバーとの交流には家の固定電話1本で踏ん張っていた。


まだ普通にモジュラージャックとPCを有線で接続し、電話回線を介してインターネットにアクセスしてた時代。


電話するときは一旦ネットの回線を切って固定電話に繋ぎ電話をかける。そしてチャットに戻る時にまたPCに回線を繋いでと、ホントめんどくさい。


それなら携帯電話を持てば?という感じだけど、そんな事をしようもんならまた夫の気分を損ねて殴られるに違いない。

それを想像すると、とてつもない恐怖が襲いかかってくる。


どんなにチャットが楽しくても辛い日常に引き戻される一瞬だった。


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