第4話 九十九 十六夜

その後、十六夜と来未は数々の依頼をこなし、すっかり天元という組織にも馴染んでいた。

そんな時。


「来未、この後時間あるか?」

任務後、ボロボロの状態で十六夜が来未にそう問いかける。

「ん?あぁ、暇だぞ」

「ちょっと話があるんだ。大切な話だ」

「……?わかった」

こくり、と頷く来未。

十六夜は天元に戻ると風呂に入って行った。

任務の報告は来未が行い、来未も風呂へ向かって行った。

風呂は男女別にわかれており、大浴場となっている。

来未は女湯に入ると綺麗な水色の髪を丁寧に洗っていく。

「♪〜」

鼻歌を歌いながら髪を洗う来未。

「懐かしいな、その歌」

ふと壁越しに聞こえた十六夜の声。

「……聞いてたのかよ」

「たまたま聞こえただけだ。それ、子守唄だろ」

「あぁ。なんかふと思い出してな」

「ふぅん……」

「……で、話ってなんだよ」

「後でな」

少しぶっきらぼうな言い方になってしまっただろうか、なんて思う十六夜。

2人は同時に風呂から上がり、バッタリ顔を鉢合わせた。

「ちょっと来い」

少し強引に来未の手を引き、バルコニーに向かう十六夜と来未。

「な、なんだよ」

手を引かれながら慌て気味に問いかける。


バルコニーに着くと、ふんわりとシャンプーの匂いを漂わせる十六夜。

「……で、話ってなんだよ」

「あぁ、その事なんだが。」

一白を置いて。

「来未。俺はお前が好きだ。付き合ってくれ」

「………は?」

顔を真っ赤にさせて情けない声を出す来未。

「あの……その……」

「嫌だったら断ってもいいんだぜ」

「い、嫌じゃない!むしろ……うん、嬉しい。」

「……で、返事は?」

「アタシでよければ喜んで」

嬉しそうに、だが何処か恥ずかしそうに告げる来未。

「ありがとうな」

ぐい、と来未を抱き寄せる十六夜なのであった。


次の日。

「アンタらが最近入った十六夜と来未?アタシは極夜」

「アタシは白夜。」

金髪緑目の少女が極夜、ピンク色の長い髪に赤い目が特徴的な方が白夜。

どうやら双子らしい。

「あんたら、幼なじみなんだってね」

「羨ましいわ〜」

のんびりと話す白夜。

どうやら2人は姉妹のようだ。

「何の用だよ。俺達は今からとある事を報告に行くんだよ」

「へぇ〜、なにかしら?ワクワク」

「アタシにも教えなさいよね!」

そう言って立ち去る2人。

「なんだったんだ……。」

唖然とする来未なのであった。


「皆に報告がある!俺と来未は付き合うことになった。俺の来未に手を出したらぶっ飛ばすからな。」

「へぇ〜!2人とも、付き合うことになったんだ!」

パチパチと拍手が聞こえてくる。

2人を祝福する声やつついてくる輩もいる。


大きな報告を終えた十六夜達は同じ部屋にしてもらい、なるべく長い時間2人で過ごせるよう配慮してくれていた。

「なんか緊張するな……」

「いつも通り過ごせばいいだけだろ」

そう告る十六夜も少し照れていた。


今宵の月は満月であった。

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