実の姉と妹に恋しちゃダメですか?~隠れシスコンな俺が猫の手を借りて意地でも全員と結婚まで漕ぎ着く話~【完結!】
佐橋博打
第1話 青い瞳を持つシスコン
突然だが、俺こと
シスコンとはシスター・コンプレックスの略らしい。
英語……いや、学力の乏しい俺には詳しいことはわからない。
つまるところ、姉や妹が大好きってことだ。
家族愛みたいなのも当然ある。
でも俺の中で渦巻いてるのは、間違いなく異性に惹かれちまってるときに感じる熱い想いだ。
正直、自分でもイかれてると思う。
同じ腹から生まれた姉妹を、女として好きになるなんて。
自分の気持ちに気づいたとき、ネットでざっと調べたことがある。
男は生まれたときに初めて接する女が母親だから、マザコンになりやすいらしい。
でも母さんは俺がまだ物心もはっきりつかないうちに死んだ。
だから、姉ちゃんたちのことを好きになっちまったんだろうか。
そうなると、妹が好きなことの理由がつかねぇけど。
世間的に見ても異常な存在。
この想いは決して許されないものだ。
墓場まで持っていくつもりだが、このままだと未練タラタラで成仏できなさそうだな。
なんてことを考えながら、俺は洗い終わった食器を拭いていた。
「ありがとう、雪くん」
そう言ってくれたのは俺の姉である
俺は
非常に温和な性格で、エプロンの似合う忍海家の次女。
栗色の髪を三つ編みにして片方に垂れさせた髪型が、さらに彼女の優しげな雰囲気を際立たせている。
垂れ目の下のホクロもそうだ。
俺よりも背は低いが、どうも実年齢の23歳より大人っぽく見える。
8歳違うとそりゃそうかもしれねぇけど。
俺は彩姉に感謝されながらも、彼女の大きな胸をこの青い目でマジマジと見てしまっていた。
本当にクズ野郎だ。
「礼なんていいって。……彩姉こそ毎日やってんだから、そっちのほうが立派だろ。俺なんか、しょっちゅう皿割ってるしな」
「ふふっ、そうね。それでも雪くんが手伝ってくれるのは嬉しいよ」
「んー……そっか」
彩姉はキラキラとした顔をこちらに向けてくる。
それを感じているだけで胸の奥がギュッとなった。
わかってんだ。
この笑顔にはシンプルに家族へ向けた感謝の意味しかない。
でも……やっぱ勘違いしちまいそうになる。
皿を割ったのだって、この顔に見惚れてて落っことしたんだから。
気を取り直してリビングに目をやる。
そこにはもうひとりの姉、そして妹がいた。
姉のほうはノートパソコンを広げ、コーヒー片手に仕事をしている。
そのカップが空いたのを見て、俺はおかわりを入れに向かう。
「ほれ、おかわりだろ?」
「……あぁ、悪いな」
そうモニターに目をやったまま低い声で応えたのが、忍海家の長女である
教師ってのは多忙なようで、家に帰ってきてからも大体は仕事か勉強をしていた。
そのせいで服はいつもスーツに黒いストッキング。
髪は俺より黒いし、長い。
目は鋭い感じで眉毛がやや太いあたり、彼女の芯の強さみたいなのがわかりやすい。
年齢は俺より10個上の25歳。
化粧はほぼしていないのに、目鼻立ちがはっきりとしている。
美雨姉も彩姉と同じく、胸が大きい。
彩姉が長いタイプで、美雨姉が丸いタイプだ……。
あと尻も大きい。
クソ、まただ。
またそういう目で姉ちゃんたちを見てんだよな。
家族に向ける目としておかしいだろうが。
「どうした? まだ何か用か」
「いや……」
美雨姉はクールだ。
ただ、あまりにもクールすぎて脈ナシなのが痛いほどわかるのがキツイ。
俺のことを好きになる以前に、まず男のことを好きになったことがないようだ。
それは彩姉も同じだと思うが、方向性が違う。
まぁ、俺にとっちゃラッキーでもあるか。
そう考えていると、すごく横から視線を感じた。
ゆっくりとそちらのほうへ顔を向けると、ジト目になっている妹と目が合う。
「なんだよ」
「見えないんだけど~?」
「あぁ、テレビか。つか、お前も手伝えよ。暇そうにしてんじゃねぇか」
「やだー、あたし忙しいから~」
そう言ってソファに寝そべっているのは、妹の
美雨姉が勤めている中学に通っている14歳。
中2だからってわけじゃないが、なかなかに生意気な妹だ。
まぁ、俺が人のことをとやかく言えるタチじゃねぇけど。
髪は黒いセミロング。
家に帰ってきても着替えるのを不精していることが多く、よく制服で飯を食ってやがる。
ゲーム好きで不摂生をしているように見えるが、なぜか肌も髪もツヤツヤ。
姉2人と同じく、こちらも大概美人だ。
ただ……胸の膨らみは小さい。
いや、比較対象が姉ちゃんたちなだけでそうでもないのか?
どちらにせよ、まだまだお子様だし、俺はそういう大小はどうでもいい派だ。
「……お兄ちゃん。今あたしのこと見て、なんか笑ったでしょ~?」
「わ、笑ってねぇよ」
「本当かな~? 怪しいわぁ。……あ、そうそう。この前言ってた国語の問題さ、解き方書いといたからあとで部屋まで取んにきて」
「おぉ! サンキュー!」
「どういたしまして~。やれやれ、世話の焼けるお兄ちゃんだ」
そう、出雲は結構頭が良い。
美雨姉は教師だからもちろんのこと、彩姉も頭が良い。
つまり、俺だけがバカってことだな!
バカなぐらいがちょうどいい。
めんどくせぇことにうだうだと悩むことも少ないだろうしな。
彩姉も台所周りのことを片づけ終わり、家族揃ってリビングに座って休憩する。
それぞれ自分の部屋はあるものの、食後はこんな感じになりがちだ。
俺はこのときが一番好きだ。
冬ならコタツもあって言うことなしなんだが、今は春。
残念ながら、もう片付けた。
テレビを観ているのは俺と彩姉。
彩姉はチョコのお菓子を食べている。
美雨姉は相変わらずPCに向き合っていて、出雲はスマホを見ながら寝そうになっていた。
そろそろ風呂にでも入るかと思っていたとき。
ニュースに出ていた女子アナウンサーがこう伝えた。
「『続いてのニュースです。政府は10日、少子高齢社会への解決策として、重婚および近親婚に関する民法の改正に乗り出すことを正式に発表しました』」
「……は?」
思わず口をついた困惑の言葉。
俺は目の前で読み上げられたニュースが、何ひとつとして頭に入ってこなかった。
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【あとがき】
読んでいただいてありがとうございます!
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