自身の敵はいつだって己であり、口を閉じて始まるのは己との対話である。なぜなら、自身から逃げられたためしはなく、己を無視できたことはないからである。歩を突き合わせれば角打ちか、飛車先が伸びるのか。思わぬところから香車が飛んでくるか。一マスしかないはずのところに居るのは、一人だが一人とは限らないのだ。逃げる事が出来ないのであれば、πのラストシーンの如く、ドリルで穴を開けるしか。