風邪を引いた包帯

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なんだか今日は身体が重だるい。

歩くのも億劫になるし、川にも行けないじゃないか、今日はついてない‥だが、探偵社に行かなければ、それはそれで怒られてしまう。そう思い扉にに手をかけ探偵社へと向かった。


国木田「だざァい!!」


おや、国木田くんじゃないか。と声を出そうとすると、まさかの声が出なかった。

乾燥してるからかな、と思ったが、どうやらそうでもないらしい。国木田くんが怒鳴る度に頭に響いて落ち着かない、ここは逃げるが吉だ。


国木田く‥探偵社の誇るママから逃げて、良い川の橋で黄昏ていると声をかけられる。


??「ンなとこでなァにしてンだ」


聞き慣れた声だ、この声を聞くと何時もいじり倒したくなるが、今はそんな元気はない。それでも、彼に声をかけなければ、と思いそちらを向いたら、視界がぐらつき、私はそこで意識を失った。


??「オーイッ、だざ___。」


あぁ、やはりこれは彼の声だ、馬鹿にされる前に起きなければ。


太宰「なんだい中也、五月蝿いよ‥」

中原「あ"ぁ"?助けてやったンじゃねーかッ」


助ける?どういうことだろうか


中原「手前、俺の前でぶっ倒れただろうが」


そうか、意識を失ったのはそれか‥


中原「あと、手前それ風邪だぞ」

太宰「そんな事、分かってたよ‥」

中原「はぁ‥待ってろ、お粥でも作ってやる」

太宰「なんだい、私を嘲笑わないのかい、?」


マズイ、どんどん衰弱してきている。

これでは私が彼より下のようになってしまう。


中原「風邪の奴と張り合ったってなンにもなんねーだろッ」

太宰「君‥丸くなった?」

中原「黙れ」


そう言いながら、彼は私に作りたてのお粥を渡した。意外にもナメクジが作ったものとは思えないくらい美味しく、その後私は深い眠りについた‥


中原side


太宰が眠った後、少しコイツの顔を眺めてた。

なンも言わなきゃ綺麗な奴なのに‥と残念に思い、彼の頬に手をやる。まだ熱を帯びていて、呼吸も少し荒い、なンとかしてやりたいがどうにも出来ないもどかしさが心を揺さぶった。

俺は彼にポツリと呟いた。


中原「好きだ。」


その後、彼は寝返りを打ち、俺と反対を向いた。

我ながら何をしているんだ、と思いながらも、寝ている本人に愛を告げる。これが現実で云えたなら、なんて思っていると‥


太宰「良い、よ‥?」


彼の顔が紅く染まっていて、とても美しく見えた。


太宰side


中原「好きだ。」


思わず寝返りを打ってしまった。

少し前に起きようと思ったが、彼が私の頬に手を触れていた為、むやみに動くことができなかった。私は、勇気を持って愛を伝えた彼に、私も勇気を持ってこう伝えた。


太宰「良い、よ‥?」


その後、彼は驚いたように目を丸くした。


太宰「その‥私で、良いなら‥」


しどろもどろにそう返答すると、彼は思いっきり私を抱き締めた。


中原「馬鹿、馬鹿馬鹿!!」

太宰「急になんだい?!」

中原「手前が倒れて心配したンだよッ!!」

太宰「へ、ぇ、?」


今までの彼の素振りからそんな事考えもしなかった、彼も昔よりは隠し事が上手くなったようだ。


中原「こうなる前に、これからは俺を頼れ‥」

太宰「勿論さ、頼らせてもらう‥」


私は、そっと彼の背中に手を回し、抱き返した。



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中太の短編集 クンサキさん @kunsaki3

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