農耕文明において、牛は常に霊性を帯びた存在とされてきましたが、その一生は人間によって搾取し尽くされます。生きている間は耕作のために血と汗を捧げ、働けなくなれば屠られてしまう。中国大陸における牛に関する神話の多くも、たとえば牛郎織女の伝説のように、この種の搾取の物語を踏襲しています。
しかし、「人牛」のような神話は初めて聞きました。調べてみると、台湾にも同種の伝承があるようです。この物語がとても気に入りました。読み進めるあいだ、人牛がこの先どんな意外な行動を取るのだろうと考え続けていましたが、物語は予想とは全く異なる方向へと進んでいきました。
牛肉が大好きな私ですが、思わずいろいろ考えさせられてしまいました。
このような優れた作品を創り出してくださった作者に心より感謝いたします。