異類婚姻譚の皮をかぶったハイテンションコメディかと思いきや、気づけば心がぽかぽかと温まる、そんな不思議な読後感を味わえる作品。
冒頭から繰り広げられる鶴の猛烈アタックと、「俺」の絶妙なツッコミの応酬に笑いが止まらない。しかし、物語が進むにつれて、登場人物たちの関係性が少しずつ変化していくのが心地よく、最後にはじんわりと胸に残るものがある。また、軽快な語り口の中にしっかりとした情緒が息づき、笑いと温かさが絶妙に共存するストーリー展開は、まるで羽根のように軽やかで、それでいて確かに心に触れるものがある。
ユーモアの奥にある真の「恩返し」とは何か――そんな問いが、読後に優しく響く。
異種族ラブコメが好きな人はもちろん、ちょっと疲れた心を癒したい人にもおすすめの一作。