とある父親と娘の会話

「パパお腹すいた」

「すいたね」

「今日なんの日か知ってる？」

「えーと、なんだっけ？」

「ひな祭り！　今日はひな祭りだよ、ぶぅ～」

「そういえばそうだった。でもひな人形って家（うち）はないしなぁ」

「せめて、ひなあられ買って！」

「なんだよ、結局お腹すいたからお菓子買えって言うのかよ？」

「うん♪」

「でもまだ釣れそうな気配するしなぁ～」

「えーお菓子買ってぇ！　お腹すいたぁ～!!!!」

「う～ん、でもさっき生ビール飲んじゃったから車の運転できないよ？」

「ひ～、生釣りしながら飲んじゃったの？」

「ぶっ！　ぶははははっ！」

「何がおかしいのよ？」

「いや、オジサンにはこういうの効くんだよなぁ～。今さ、『ひ～なまつりしながらのんじゃったの』って言ったじゃん。いやぁ上手い」

「うわっ！　おやじギャグに反応してた、パパ最低!!」

「悪い悪い、でも近くのコンビニ行くのも車で行かないとかなりの距離だしなぁ。車の中で寝ているママ起こしてきな。ママに運転してもらってコンビニ行ってきな」

「ママ起こすの一苦労だよ？　あの人って寝起きとっても悪いし」

「確かに、先日も寝起きに接着剤と歯磨き粉間違えて大惨事になるところだったよなぁ」

「寝ぼけたママって最悪だよ？」

「仕方ない、起こしに行ってくるかぁ」

「あ、パパ！　引いてる引いてるッ!!」

「おっ！　こいつはッ！　タイミング合わせて……　うりゃぁっ!!」

「かかったッ！　なんかすごい引いてるよ!!」

「おおっ！　ドラグが出る！　こいつはでかいぞ!!」

「やった！　なに釣れるかな!?」

「くうっ、こいつは引きが強い！　こなくそっ!!」

「がんばれパパ！　マグロ釣って！　あたしマグロ好き!!」

「いや、オカッパリでマグロは釣れないって！　こんにゃろっ!!」

「いけーっ！　クジラ釣れぇ～っ！」

「いやクジラも釣れないって！」

「じゃぁエビ！　あたしエビも好き!!」

「魚釣りだからエビは釣れません!!」

「え～、じゃあと好きなのカルビ～」

「それ回り寿司のネタだけど、魚じゃないってばッ!!」

「ぶぅ～、じゃぁイクラでいいや～」

「魚だけど、それ魚の卵ぉっ！　おりゃぁっ!!」

「ふわ～、よくねたぁ～」

「「あっ」」

　釣り上げた魚は見事に寝起きのママの顔に直撃しましたとさ。