穏やかな午後の日差しの中で、子供達が
楽しげに遊んでいる。森閑とした神社の
境内の隅で。
只、それだけで満足だった。
仲間に入るでもなく見ているだけで良い、
見ているだけが良い。そんな型に嵌らない子どもだった。
だから、気が付いた。
大きな御神木の根元の 虚 に。
眩しげに目を細めて、じっと見ている
虚の中の、 その子 の事を。
微睡を齎す穏やかな日差しと、微かに吹き
抜ける暖かな風。さわさわと葉を揺らして
境内を抜けて行く。
けれどもそれは紙垂を巻かれた榊の樹。
異界と俗界を分ける御神木。
榊の木言葉は『控えめな美点』そして、『揺るがない』『神を尊ぶ』という。