第49話
「え?いや、愛してる……って」
「言った事あんだろ?好きだって」
「それは……聞いた事、あるけど……」
「お前の事ずっと好きだけど?」
「……はい!?」
真顔でそんな事を言ってくる彼に再び吃驚するアタシ。
いや、だってね?
好きだなんてあれっきり言われなかったし、ヒビキはアタシがタクの事を思ってた事だって知ってる。
今だって思い出しては泣いてる事にも気付いてる。
だからアタシの事は只放っておけない妹のような存在になってるんだと思ってたんだけど……。
「ずっと、好きだったの?」
「俺の事舐めてるだろ」
「舐めてないよ!?ただ、その……」
「分かってるよ、お前の中にまだ彼奴が居る事ぐらい」
「……うん」
「それも引っ括めて俺が愛してやる」
「……うん」
「だから……もう一人で泣くんじゃねぇよ」
ぽろぽろと溢れ落ちる涙は今までの何倍も熱くて大粒だったと思う。
声を出さずに静かに泣くアタシを抱き寄せたヒビキは、ゆっくりとアタシの背中をとんとんと泣き止むように優しく叩いてくれていた。
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