【KAC20251】ひなまつりに白酒を

龍軒治政墫

ひなまつりに白酒を

 3月3日のひなまつり。

 と言うのは平安時代に起源がありまして、江戸時代には今のスタイルが確立したと言われております。

 その頃は、女の子も普通にお酒を飲んでおりまして。

 今はダメですよ? 今は。

 子どもも飲んでいいようにと、甘酒になってますから。


 で、その江戸時代に飲んでたお酒ですが。

 桃の花を浮かべたお酒から、甘くておいしい白酒しろざけを飲むように変わりまして――。



「ママ! ママー!」

「なあに?」

「ひなまつりのお歌に『しろざけ』って出てくるけど、しろざけってなぁに? あまざけ?」

「白酒はね、甘酒と違ってちゃんとしたお酒なの。右大臣も酔ってるでしょ? だから今は飲んじゃダメよ」

「えー、むかしの人はいいの?」

「子どもが飲んじゃダメって法律は100年ぐらい前に出来たからね。チャイナドレスと同じぐらいの歴史よ」

「ママがパパをゆうわくする時に着てる、アレだよね?」

「な、なんで知ってるのよ」

「夜のママはちょっとちがうって、パパが……」

「――パパにはお説教が必要ね」

「パパがかわいそうだよぉ」

「大丈夫よ。悦ぶから」


「でも、なんでしろざけのむの?」

「白はケガレを払うって。それで飲まれていたみたい」

「そうなんだ。じゃあ、白いあまざけでも効果あるの?」

「多分ね」

「いいなぁ、しろざけ。のんでみたーい」

「大人になったらね」

「ノンアルコールしろざけないの? 今、いろんなのがノンアルコールで出てるじゃない?」

「うーん……ママは知らないなぁ。お酒も全部ノンアルコールある訳じゃないからね。中国の白酒ぱいちゅうもないし」

「ぱいちゅう? パパが好きなアレ?」

「アレって?」

「やると、夜のママがとってもかわいい反応するって、パパ言ってた」

「――やっぱりパパにはお仕置きが必要ね」

「それもパパよろこぶの?」

「そうよ。パパ、とっても悦ぶわ」


「それで、しろざけの代わりってないの?」

「それが甘酒よ」

「でもあまざけって、しろざけとちがうんでしょ?」

「そうねぇ」

「しろざけがいい! しろざけを口にしたいぃ!」

「これならどう? 『しろざけ』よ」

「わぁ! きれいなオレンジの身でおいしそう! 焼いたらおいしいお魚! ってぇ、これもしろざけだけどぉ……」


「ひなまつりにもシャケを食え!」

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