私の名前

ようよう

孤独・寂しさ

 立花さんは頭良くて尊敬する。

 立花さんって運動神経もいいよね。

 立花さん、何でもできるのにお顔まで美しいなんて、持ってないものなんてなさそう。

 立花さんって、あの生徒会長の? 欠点なんてない完璧超人じゃん。

 立花さんは。

 立花さんって。

 立花さん。

 立花さん、立花さん、立花さん。

 

 誰も、私のことを名字で呼ぶばかりで名前では呼んでくれない。


 みんな、私のことを遠くから眺めるだけで近づいてきてはくれない。私が何でもそつなくこなしてしまうばかりに、私のことを文武両道、品行方正、容姿端麗と祀り上げ、挙句完璧超人などと謳い神格化してしまっている。


 小学校まではそれでもよかった。何でもできた方が周りに人は寄ってくるし、それをすごいと言って一緒にいてくれた。両親もそれを見て私に強く期待するようになった。


 けれど、中学に上がってからはそうもいかなくなった。

 私のことを恐れ多いと近づいてきてくれる人はいなくなった。しかし私は両親からの強い期待に応えるために手を抜くことができなかった。


 結果、私はいつの間にか一人になっていた。高校生になった今でもそれは変わらない。

 親の期待に応え続け、努力を惜しまない日々。

 それが悪いわけではない。むしろ楽しめていると言ってもいい。でも、時々思うことがある。


 私にも友達がいたらな、と。


 朝、顔を合わせたらおはようと笑いかけ、それに笑顔でおはようと返してくる。休み時間はくだらないことを話して笑いあったり、お昼は一緒に食べてお弁当を交換し合ったり。帰り道、どこかのお店やコンビニに寄り道をして食べ歩きをしたり。

 そんな私と常に対等で、私の名前を呼んでくれる存在が欲しいと思う。


 けれど現実はそうもいかない。

 今日も私は誰もいない荒野に一人努力を続けている。



 ……まるでわたしの名前そのものだな。

 せめて誰かに私の名前を、「エリカ」という名前を呼んでほしいと、切望するばかりだ。

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私の名前 ようよう @yoyo1220

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