【KAC20251】ある一般男子大学生の発案
千艸(ちぐさ)
思いついてしまった僕が悪いんだけどさ
ロボットコンテスト、略してロボコン。人の持てる知識と技術の粋を集めて製作したロボット同士の熱い競技バトル。
僕は今年大学生になって、完全に興味本位からロボコンサークルに入った。男女比率驚異の四十三対二。というか実人数がバレるね、これ。理系男子の巣窟というわけだ。体験入部の時点では同期にも女子がいたんだけど、放課後も休日も全部ロボコンに捧げる
まあ、僕には高校からの彼女がいるし、そこに焦りはない。部員の殆どが彼女いない歴イコール年齢でも知ったこっちゃない。先輩達は彼女作りよりものづくりの面白さを優先した人達ばかりで、彼女を作るとしたら足は四輪か三輪か、はたまた多脚かホバリングか、なんて馬鹿げた議論をよくしている。そういう「作る」じゃないんですよ。
さておき、このサークルでは年度末に新人大会がある。一年生だけで複数班を作り、実際にロボットを競わせるのだ。今年の競技テーマは「行事」らしい。
ロボットはコントローラ操縦タイプ。まずお正月エリアから出走し、バレンタインエリアの男オブジェクトを回収し、ひなまつりエリアで女オブジェクトも回収して、こどもの日エリアで男女を指定のカゴに入れると子供オブジェクトが解放される。この子を夏の山海エリアに連れていった後、敬老エリアで老爺オブジェクトを回収し、クリスマスエリアで老爺、子供の順に積み上げて終了。ここまでのタイムを競う。
オブジェクトを擬人化しなければどうということはない、ただの障害物競走だ。フィールドは赤チームと青チームで隣り合い線対称になっている。奇数月が内側、偶数月が外側と蛇行しながら進む形で、七月から八月の山海エリアが坂と橋のある難所、なんだけど。
妙案を思いついてしまった僕は、アイデア出しの段階で班の皆に提案してみた。
「これさ、隣接してる敵のひなまつりエリアの女も取っちゃえば無条件勝利じゃない?」
勿論、勝つために僕の案は即採用。
と同時に、散々に人格を揶揄されて、僕の二つ名は寝取り魔になった。
うん。きっと彼女持ちの僕へのやっかみ半分畏怖半分に違いない。
理系男子は案外繊細なのだ。
【KAC20251】ある一般男子大学生の発案 千艸(ちぐさ) @e_chigusa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます