健やかな感動に満ちた、とても素敵な物語でした。
主人公である櫂は、ある時に父親に土下座までして一つのことを頼みこむ。
「ゲームで課金」をさせて欲しいと。
通常ならば怒られて終わるような案件。でも、そこには深い事情があった……。
現代において、子供を持つ親にとっての悩みの種の一つ。「ゲームに課金したい」という。
再現のないものだし、下手をすれば何十万や何百万だって使えてしまう怖い世界。だから子供がその手のゲームに近づくのを丸々禁止したい親だって少なくはないはず。
そんなちょっとダーティーなイメージもあるゲーム課金ですが、本作はそんなイメージを180度ガラリと変えてくれました。
果たして、櫂くんがゲームで課金をしたいと思う目的は?
幼いながらもしっかりと人を思いやれる櫂くんと、そんな息子を見守る両親。櫂くんに出される条件。そのために必死に頑張る姿。
健気! ひたすら健気! どうか報われて欲しいと強く思わされ、ずっとこの子たちを見守っていたいとも感じさせられました。
爽やかな読後感の保証付き。優しい気持ちになれる作品です。