妹が美青年吸血鬼の眷属になっていたんだが
鶴花みやぎ
第1話:ある平和な朝に
「お兄ちゃん、私、今日から吸血鬼になるから、よろしくね!」
ある平和な朝に目覚まし時計がやかましく鳴って目が覚めると、俺――
聞き間違いか夢の続きかと思った。
吸血鬼。漫画や小説によく出てくる単語だ。
玲は「今日から吸血鬼になる」と言った。
どういうことだ?
まず吸血鬼は血を吸うやつだよな。
そして不死身のやつだ。
俺は妹の姿を見る。
何も変わっていないように見えるが、よく目を凝らして見ると仄かに眼が赤く光っている。
暗い部屋だから気が付いたが、明るい部屋だったら気が付かなかったことだろう。
「ふーん、これが君のお兄ちゃんの…アキラ君だっけ?普通だねえ。寝癖すごいけど。よろしくー。あれ?アキラ君オレのこと見えてる?おーい」
二段ベッドの上からさらにもう一人、人が飛び下りてきた。
俺に馴れ馴れしく語りかけてくる姿は、見覚えのないものだった。
黒い髪、白と黒のパーカー、
とても端正な顔をしている。腹が立つ。
何にしても「見えてる?」という質問には答えなければいけない。
「見え…てる。お前は、誰だ…?」
そいつはにっと笑って答えた。長い八重歯が覗く。
「フィノ。吸血鬼だよ。君の妹の…レイちゃんを
そいつ――フィノは薄ら笑いを浮かべた。
吸血鬼だ、とそいつは名乗った。玲と同じように。
いや、そんな事はもうどうでもいい。
奴隷。奴隷といったのか?玲を?
「うわっ。どうしたの?なんかこの人めっちゃオレのこと睨んでくるんだけど」
フィノはくすくすと笑いながらそう言った。
お前のせいだよ。
「お前…俺の玲を…奴隷…だと?殺す…」
「気にしないでください。お兄ちゃんはちょっと変なので…。はぁ」
変と言われてショックを受ける。
フィノはあきれるようにふっと笑った。
「普通っていうの、訂正ー。相当の
俺はついにキレた。
「…ぶっ殺す‼」
俺は枕元の目覚まし時計を掴み、床に寝っ転がり
相当の力(と殺意)がこもっているであろうその目覚まし時計を、フィノはいとも簡単にぱしりと受け止め、それをひょいと投げ返した。
「えー、
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